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King Gnu、初のスタジアム・ツアー「King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY」終幕。日産スタジアムで7万人の大合唱

King Gnu
Photo by Kosuke Ito

全4公演で計23万人を動員したKing Gnuによる初のスタジアム・ライヴ・ツアー「King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY」の千秋楽が、2023年6月4日に横浜 日産スタジアムで開催された。数日前の天気予報を覆した奇跡の快晴である。しかも超満員での声出し解禁ライヴだ。

7万人を収容する巨大スタジアム。ステージ・セットでキーとなる赤色はセレモニー感を打ち出し、会場中にフラッグがはためいた。スタジアム・ライヴが解き放つ高揚感を倍増させていく。左右に展開される巨大LEDモニター。ステージ奥には黄金の聖火台が鎮座している。

そう、本公演は、タイトルともども2020年1月15日にリリースした3枚目のアルバム『CEREMONY』に起因する。リリース直後、パンデミックの影響のために延期となった2020年初頭に予定されていた幻のツアー。しかしながら、様々な制約を乗り越え、その後開催された2度にわたる全国ツアーや東京ドーム2デイズ公演を経て、さらに大きな群れとなったKing Gnuは現時点での集大成として本公演=クロージング・セレモニーを行ったのだ。それは、この3年間の社会の閉塞感を塗り替えていく、そんな気概を感じられたライヴとなった。

オープニングは、ストリングスのチューニング音から始まり、荘厳なオーケストレーションを醸し出す“開会式”からスタート。今回、ステージにはメンバー以外にもホーン&ストリングス隊が演奏に参加。より奥行きの広いサウンドを豊潤に繰り広げていく。聖火台モニュメントへの輝かしい聖火の点火。LEDモニターには、アニメーションで描かれた聖火台に揺れる炎が指揮棒を振って舞っている。

この日に最も相応しい曲“飛行艇”では、屋根のないスタジアムで大空へ向かってドッシリとロック・ビートを解き放つ。「どんな夢を見に行こうか」という歌い出しの本作だが、まさに夢の光景が眼前に広がっているのだ。

勢喜遊(Dr/Sampler)はサングラス越しに笑み、井口理(Vo/Key)は左手を頭上に掲げ、新井和輝(Ba)はビートと呼応しながら揺れ、常田大希(Gt/Vo)はゆっくりと客席を見回している。印象的なワンシーンだ。

間髪開けずに“Tokyo Rendez-Vous”を披露。井口による「みんな元気? 元気だね。ここでMCをするつもりはなかったんだけど。せっかくの千秋楽だからね。来てくれてありがとう。俺らもさ、6、7年前は下北沢や渋谷のライヴハウスで、誰も聴いていなかったようなところで演奏してたんだけどさ。今どうよ? 7万人が聴いてくれていますね。ありがとう! みなさんに提案なんだけど、今日という日をこの先の人生で何度も思い出したくなる日にしませんか? どうか今日はよろしくお願いします」という、第一声となるMCを解き放つ。

野外に似合うビートの効いたパンキッシュなアッパー・チューン“Teenager Forever”を皮切りに“BOY”、開放感でいっぱいな“雨燦々”など誰もが知るヒット・チューンを惜しげも無く立て続けにプレイ。時には常田、井口、新井がひとつのマイクに向き合ってシャウト、オーディエンスへヴォーカルを委ね合唱が起きるなど涙腺崩壊な展開だ。

そして、疾走感溢れるリズムが、夕涼みのような風の気持ち良さとリンクする“小さな惑星”と呼応し、会場の空気をよりポップに染め上げていく“傘”を披露。しかしながら今日は、時の流れを早く感じる。楽しい時間はあっという間とはまさにこのことだ。King Gnuはとにかくあらゆる面で情報密度が濃い。なのに想いはシンプルで直球だ。それが理由のひとつなのかもしれない。

長めのMCタイムでは「いい日だね、今日もいい空だねえ」と井口が空を見上げながら語り、King Gnuらしい距離感の近い雑談のようなトークを繰り広げていく。昨日6月3日公演では「東京じゃない人どれだけいる?」と、オーディエンスがどこの地域からやって来たかを手を挙げさせ、今日は「改めましてKing Gnuです」と挨拶し、タバコに火を灯し、続けて常田もタバコを吸い始めて沸く会場。井口が「今回はほんとに波乱のスタジアム・ツアーになっちゃいまして。大阪もリハができなかったり。横浜もゲネプロができなくて。台風で3日の昼ごろまで雨が降っていて。でも、なんとかできましたね!」と話題を広げていく。

MC中もずっと、生BGMのごとくアコギを爪弾いていた音楽に寄り添う常田。そんな柔らかい雰囲気そのままに“ユーモア”、そしてホーリーな雰囲気漂う“Don't Stop the Clocks”をメランコリックにプレイ。ここからはヒット・チューンとして知られる“カメレオン”、そして常田がピアノ・ソロで、東京藝術大学出身の先輩である坂本龍一への追悼として“Merry Christmas Mr. Lawrence”の一節をアレンジを加えながら心を込めて演奏。そのまま、壮大な雰囲気を持つ“三文小説”へと没入感高いハイクオリティな演奏へ突入。本日のハイライトのひとつだ。気がついたら日没時刻となっており、会場は薄暗くなってきたところで最初期に生み出されたアブストラクト且つドープなナンバー“泡”。淡いレーザー光線による輝きが妖しげに美しい。そして、ドープなインスト曲“幕間”を経て、突如アップテンポに感情が解き放たれる“どろん”、“Overflow”など人気チューンを次々にドロップしていく。

ここで再びMCタイム。新井が10数名のホーン&ストリングス隊を紹介しつつ、井口が「後半いきますか? まだまだいけますか?」と煽る。King GnuオリジナルのJ-POPセンスの躍進のきっかけとなった“Prayer X”が演奏され、勢喜によるドラムが映えるイントロダクション、スモーク濃いめに焚かれアッパーな常田のラップが繰り広げられていく“Slumberland”へと続く。さらに、スタジアムが似合うビートの効いた“Stardom”では、会場の温度が上がるほどにステージに設置された数々の炎が一斉に燃え上がりまくるなど、かつてない派手な演出へ。勢いそのままに、ビートが研ぎ澄まされたロック・チューン“一途”。ドラマチックな“逆夢”へと駆け抜けていく。繰り返すが、あっという間に時間が溶けていくのだ。

そして待ちに待った、常田がメイン・ヴォーカルを務める“壇上”のライヴお披露目である。アルバム『CEREMONY』でもキーとなったナンバー。知る人ぞ知る楽曲だ。歌詞は、まるで数年後の自分たちの心情に振り返ったかのようなセンチメンタルな世界観。そんな想いとリンクするかのように走馬灯のごとくこれまでのバンドの歴史がメンバー写真と共に矢継ぎ早に巨大LEDモニターに映し出され、心が真っ白になっていく。頭も空白のまま、本編最後となるサイケデリックなポップ・バラード“サマーレイン・ダイバー”へ。オーディエンスが自発的にスマートフォンのライトを点灯し、会場中に光が瞬く大海原のようなシーンへと一変。感情が追いつかないほどの大感動だ。声出し解禁、オーディエンスと合唱しながら、メンバーによる満足度の高い笑顔と共に大団円を迎えていく。

アンコールを経て、ステージでは常田がチェロを独奏。アヴァンギャルド且つアカデミック、色気のある高貴なプレイ。パーカッシヴな弦の響きに目が耳が離せない。そのまま、King Gnuの代表曲と言っていいだろう“白日”を披露。透明感ある伸びやかな歌声が美しい。そしてラストMCタイムへ。井口による、オーディエンスへの感謝の言葉「ありがとう! 楽しかったね。あとちょっとだけ付き合ってもらっていいですか? ここに7万人の人がいて。それぞれ生活があって。せっかくなら7万人の心の歌を聴きたいじゃないですか? 大きな声で歌えますか?」と、オーディエンスへ問い掛けた。

そしてラスト2曲。まずはKing Gnuファンが最も愛する“McDonald Romance”を4人のコーラス・ワークが堪能できるバージョンで演奏。オーディエンスの大合唱と共に、会場にほんわかした温かみが広がっていく。そして、ラストは井口による「盛り上がろうぜ!」という煽りに続けて“Flash!!!”。超絶アッパーなロック・チューンによって、この日最強のハイライトが繰り広げられていく。高揚感でいっぱい、凄まじい熱量がバンドとオーディエンスの垣根をなくし、スタジアムに集まった全員の心が一体化していく。幾千に宙を飛び交うレーザービーム、そしてステージ上空に舞い上がる花火とのシンクロがヤバい。ヤバすぎる。

キング率いるヌーの群れは、仲間を巻き込みどんどん大きくなってきた。今回、最多キャパシティとなる7万人スタジアム・ライヴの成功。希望に満ち溢れた最新章のページがめくられたのだ。ヌーの群れの旅は今後も続いていく。

テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

King Gnu
Photo by Ayumu Kosugi

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カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース

掲載: 2023年06月06日 14:00