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第35回 ─ ベスト盤を機にR&B巨頭のスキャンダラスな半生を巻き戻し

THE CHOCOLATE FACTORY STARRING R. KELLY 8月22日(金)ワシントンDC・MCIセンター

連載
360°
公開
2003/10/23   13:00
更新
2003/10/23   17:01
ソース
『bounce』 247号(2003/9/25)
テキスト
文/Sally Morita

 チョコレート・シティー、ワシントンDCでのR・ケリーのコンサートは、観る側にとってもかなり感慨深いものだった。というのも、スキャンダルの渦中にあるこの男、イリノイ州裁判所によって5つだけショウを行うために州外へ出ることを許可されたばかり。そんな状況下でのこのショウ、派手な演出で見せるというより、ヒットメイカーとしての彼を前面に押し出し、ヒット・メドレーで美味しいところだけ上手く聴かせるという構成。飛ぶ鳥を落とす勢いで現れた約10年前の〈12 Play Tour〉に比べると、諸事情も加わりかなり保守的な作りになっていたが、“I Can't Sleep Baby(If I)”“I Wish”“Ignition”などの傑作パレードを聴かされると、やはりR&Bファンならば大音響で流れてくるメロディーに陶酔せずにはいられない。ただアメリカでR・ケリーといえば男女がベッドを共にする時の定番とされているだけに、もう少し以前のエロ野郎ぶりを見せてほしかったけど……まあ、いまはそんなワケにはいかないか。