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第24回――海人ゴンズイと私

連載
四の五の言わずにタイトゥン・アップ!
公開
2009/08/12   18:00
更新
2009/08/12   18:00
ソース
『bounce』 312号(2009/7/25)
テキスト
文/サイトウジュン(YOUR SONG IS GOOD)


YOUR SONG IS GOODのサイトウジュンが大好きな音楽について語りまくる連載。今月も熱くまくし立てています!




これこれ! こういうこと、こういうこと(笑)

仕事帰りに弊社スタッフのマサヤから〈サイトウさん、あの~「海人ゴンズイ」がついに復刊しましたね〉と突然のお告げ。皆さん、憶えてます? あの難破した奴隷船から日本の流刑島に漂着したアフリカ人少年が、その島を舞台にカマスとかウツボとかと戦ったりするというイカつすぎる設定で84年の連載当時、週刊少年ジャンプ読者をトラウマ地獄へたたき落としたジョージ秋山先生の伝説のマンガ「海人ゴンズイ」を! ということで、恐る恐る25年ぶりにページをめくったものの、最初の1ページ目から改めて少年誌ノリ完全無視のハードコア描写が全開(笑)。〈アチョプ! マウマウ!〉〈フンムム、フンム〉なんつ~シカト不可能な擬音だったり、実にエゲつない〈ボラの共食いシーン(笑)〉が時を越えて36歳のハートにグサグサ突き刺さります。しかも、これを「キャプテン翼」や「キン肉マン」なんかの友情マンガと同時に読んでいたのかと思うとね、なんて素晴らしいポップ体験だったんだと思いますね。

で、ゴンズイっぽい音(笑)を聴いてたんすよ。『The Sound Of Wonder!』(B-Music/Finders Keepers)は73~80年のエレクトロ・ポップ集fromパキスタン映画のサントラ。、ファンキィでサーフな……いや違う(笑)。やっぱ音色もアレンヂもビート感も全然聴いたことない、実に奇怪で奇天烈な一枚。でも不思議と懐にシレ~ッと入ってくる。最近よく聴いているホーリー・ファック『LP』(Young Turks)や。ダン・ディーコン『Bromst』(Carpark)の、シールドが完全にこんがらがってるようなヤケっぱち電子音の無茶具合も同様。またメトロノミー『Nights Out』(Because)の味わったことのない謎な温度感にもそれは言えていて、エグいけど、やっぱシレ~ッと懐に入ってくる。『Bahamian Ballads -The Songs Of Andre Toussaint』(Naxos World)で聴けるアンドレ・トゥーサンの溶けそうなカリプソに至っては、懐を通り越して何の断りもなく脳内で勝手に弾き語られてる始末──これらに共通するのが、見事10週打ち切り(笑)の最終回へ向けてゴンズイがカマス相手に暴れまくった後に片言で〈ゴンズイ、トモダチ〉って繰り出す〈得体の知れない人懐っこさ〉。つまり違和感バリバリのまま、どキャッチーということ。あっ、いまも昔もそこに殺られてたのか。それじゃ、また会おう。祝!「海人ゴンズイ」復刊。

 

▼文中に登場した作品を紹介。
左から、『The Sound Of Wonder!』(B-Music/Finders Keepers)、ホーリー・ファックの『LP』(Young Turks)、ダン・ディーコンの『Bromst』(Carpark)、メトロノミーの『Nights Out』(Because)、アンドレ・トゥーサンの『Bahamian Ballads -The Songs Of Andre Toussaint』(Naxos World)

 

 

PROFILE/サイトウジュン



YOUR SONG IS GOODのオルガン担当/リーダー。YSIG初のDVD「PLAY ALL!!!!!!」(KAKUBARHYTHM/ユニバーサル)が大好評リリース中! 3枚組を何度でも容赦なくPLAY ALLセヨ! もちろん、激!つんのめりアルバム『THE ACTION』も相変わらず絶賛リリース中! 現在は新曲作りで都内に潜伏中&今年も夏フェスね! モロモロ詳しくは〈www.kakubarhythm.com/ysigblog/〉で!