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フラワーカンパニーズ

連載
360°
公開
2010/02/17   19:00
更新
2010/02/24   18:54
ソース
bounce 318号 (2010年2月25日発行)
テキスト
文/宮本英夫

 

 

89年に結成。95年にメジャー・デビューして6年、その後インディーで7年活動し、現在はふたたびメジャーで3年目となる。いまやロック界における波乱万丈の代名詞のように語られるこのフラワーカンパニーズの歴史だが、初のオールタイム・ベスト『フラカン入門』を聴いていると、実際そんなことはどうでも良くなる。世間的には2000年代のインディー期=不遇期に見えるかもしれないが、音楽の感動という意味でフラカンに空白期はない。また日比谷野音や渋谷公会堂でワンマン・ライヴを連発していた98年~99年の華やかな時期に優れた作品が集中しているわけでもない。もともとが時流に左右されにくい音楽性――パンク、ブルース、ファンク、日本のフォーク、歌謡曲などのゴッタ煮――を持ち、鈴木圭介という素晴らしいヴォーカリストを擁したフラカンは、一貫して優れたライヴ・バンドであることと、歌詞では〈青春〉という胸ときめくものにこだわり続けることで、数々の名曲を生み落としてきた。今回のベスト盤はその一部だが、“孤高の英雄”“冬のにおい”など初期のシングル曲から、彼らの2000年代を代表する“深夜高速”、メジャー復帰以降の“この胸の中だけ”など、入門編として親切な内容になっている。が、あくまでこれは一部なので、入門したあとにはぜひ、ここで紹介しているオリジナル・アルバムに手を伸ばしてみては? 90年代のメジャー在籍時の作品もボーナス・トラック入りのリイシュー盤として生まれ変わっている。フラカンの歌は古びないし、いま聴けばいまの感動があることを、古いファンも新しいファンにも確かめてほしい。

 

▼関連盤を紹介。

フラワーカンパニーズのカヴァー集『深夜高速 -生きててよかったの集い-』(ソニー)