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小曽根真

カテゴリ
o-cha-no-ma ACTIVIST
公開
2012/09/05   12:52
ソース
intoxicate vol.99(2012年8月20日発行号)
テキスト
文 上村敏晃

燃える男、小曽根渾身のトリオ&デュオ作同時発売!

ピアニスト、小曽根真の作品が2作、同時発売となる。一つは、米国ジャズ・シーンの凄腕2人、クリスチャン・マクブライド(b)、ジェフ・ティン・ワッツ(ds)と組んだトリオ作で『マイ・ウィッチズ・ブルー』。もう一つは、ウイントン&ブランフォードのマルサリス兄弟の父親でもあるピアニスト、エリス・マリサリスとのピアノ・デュオ作で『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』。

昨年、小曽根真は東日本大震災の復興支援チャリティ・アルバム『リブ・アンド・レット・リブ ~ ラヴ・フォー・ジャパン』を発表した。この録音で小曽根は初めてマクブライド、ワッツと共演したのだが、その共演時の感触が良くて、3人でレコーディングすることに思い至ったそうだ。そうして、生まれたのが『マイ・ウィッチズ・ブルー』である。ワッツとマクブライドは、すでに幾度も共演を重ねてきたこともあり、演奏が展開するうえでの関係性が絶妙で、米国ジャズ・シーンでも指折りのリズム隊だ。収録曲は、《サテン・ドール》以外はすべて小曽根のオリジナル曲で、バラードからアップテンポのナンバーまで、リズム的にも変化に富んだ緻密な構成となっていて、鋭敏な推進力と優れた音楽性を併せ持つリズムに触発された彼のピアノは閃光のような輝きを放つ。そして、3者が奏法を駆使し、ハイ・レベルで一体となって展開する、ジャズのダイナミズムの躍動…。ピアノ・トリオの快作の誕生である。

一方、マリサリスとのデュオ作は『リブ・アンド・レット・リブ』に続くチャリティ・アルバムで、今回は東日本大震災の被災地と05年のハリケーン・カトリーナで被害を受けて現在でも復興が完了していない米ルイジアナ州ニューオーリンズの両方の復興支援を願ってレコーディングされている。収録曲は、小曽根とマルサリス共作のオリジナル曲の他、スタンダード、ニューオーリンズにゆかりの楽曲など、全8曲の構成で、2人の豊かな歌心の個性が披瀝される内容だ。小曽根もマルサリスも揺るぎない独自のピアニズムを確立しているが、ここで、二つの大きな震災の被害に胸を痛める2人は万感の思いを込めて、ピアノで対話している。そして、彼らが交感し、両者のピアニズムが共鳴し合って生まれる、ハートウォームな「音楽」の深い味わい。それぞれのピアニズムをじっくりと堪能したい向きには、ピアノ・ソロ曲が1曲ずつ用意されている。なお、このアルバムの収益の全額が、東日本大震災とニューオーリンズの復興支援のために半分ずつ寄付される予定だ。

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