エンターテインメント・オブ・ジャズ
トニー・ベネットも遂に参加！
今年で12回を数える東京ジャズは、例年になくゴージャスな雰囲気が漂う。それもそのはず、トニー・ベネットが来る、というだけで、気分は最高でしょ！ いまのところどんなバンドでくるのか詳細は不明だが、ピアノトリオでしっとりの《想い出のサンフランシスコ》もよし、もちろんビッグバンドでもりあがるのも最高だ。ここ数年、けっこうな数のヴェテラン歌手が、ジャズアルバムをリリースしている。ポール・マッカートニー、ロッド・スチュアート（彼はすでに何枚もリリースしている）、ボズ・スキャッグズ、それに日本では、八代亜紀である。トニー・ベネットは、ど真ん中のジャズ・シンガーだ。ビル・エヴァンスとのデュオといった渋い編成／内容のものもあるくらいだから、このさいひょっとしてブラッド・メルドーの伴奏で！ 否、ハービー・ハンコックの伴奏！での出演も想像してみたくなるほどのジャズ・シンガーである。いや、詳細の発表が楽しみだ。
今年の東京ジャズはヴォーカルにこだわったのだろうか。かつて80年代にウエザー・リポートとの共演や、日本のお茶の間にもCMに登場した、Take6の先輩格にあたるマンハッタン・トランスファーが登場する。ジャズらしい分厚いハーモニーや、スイングするパンチの聞いたアンサンブルワークをたっぷり楽しみたい。昨年、ジャズミュージシャンとしてデビューした大江千里や、ジャズ歌手としてアルバムをリリースした八代亜紀、こうした安定感たっぷりのシンガーの登場も、ジャズフェスならではの、お楽しみになりつつある。しかし今回、八代亜紀はマット・ダスクとのコラボでの出演だ。フェスティヴァルごとにどんどんジャズにはまっていくかのような八代亜紀という人の行く末にわくわくしてしまう。
こうしたジャズ枠以外の出演という点でもっとも注目を集めるのは、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブとオマーラ・ポルトゥオンドの出演だろうか。90年代後半にリリースされたアルバムと当時公開されたヴィム・ヴェンダース監督の映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』に端を発した世界中のブームから10年以上を経て、どんどん変化し続けるキューバの音楽に「まった！」をかけてしまったキューバ音楽の師匠たちは、今も健在なのである。
85歳にしてビルボードにチャートイン！というトニーを頂点に、今年も楽しみなのは若手の出演だ。チック・コリアのバンドでの出演がきまっているドラマー、マーカス・ギルモアは、2007年、ゴンザロ・ルバルカバのクインテットで来日して以来ぐんぐんその知名度をあげている。今年はチックのピアノトリオで来日済みだ。同じバンドに参加がきまっているベーシスト、カリートス・デル・プエルトもイラケレ出身の父の血を引く、ラテンとジャズのハイブリッドプレイヤーで、中堅の注目株だ。そして日本からは若干22歳で昨年来デビュー・アルバムを発売して以来注目をあつめている桑原あいが出演、最終日のトップバッターをつとめる。4月に発売されたばかりのセカンドアルバム『Sixth Sense』ではピアノトリオの演奏に声や電子音をコラージュしたサウンドを聞かせて話題を呼んでいる。若手らしいしゃきしゃきした演奏を聴かせてくれるに違いない。
最後になったが、ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーンの登場は、クロスオーバーファンにはたまらないだろうし、うるさがたのジャズファンには、マヌ・カッチェ、エリック・レニーニ、ステファノ・ディ・バティスタのセッションが待ちどうしいだろう。ホール中心に紹介してしまったが、ホールの外にも、有楽町〜丸ビルにジャズが今年も溢れる。詳細はウェブサイトで確認してね！
『東京JAZZ 2013』
9/6（金）7（土）8（日）
会場：東京国際フォーラム ホールA、地上広場、 COTTON CLUB
THE PREMIUM GALA
9/7（土）13:00～
マット・ダスク with special guest 八代亜紀
トニー・ベネット
マヌ・カッチェ/エリック・レニーニ/ステファノ・ディ・バティスタ
JAZZ BEYOND
9/7（土）18:00～
大江千里 Saturday Night Orchestra
リー・コニッツ
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブfeaturing オマーラ・ポルトゥオンド
WHAT MUSIC CAN DO
9/8（日）13:00～
マンハッタン・トランスファー
ラリー・カールトン ・ ブルース・オール・スターズ
ボブ・ジェームス ＆ デヴィッド・サンボーンfeaturing スティーヴ・ガッド ＆ ジェームス・ジーナス
JAZZ HERITAGE
9/8（日）13:00～
ai kuwabara trio project
チック・コリア & The Vigil with ティム・ガーランド、 カリートス・デル・プエルト、 マーカス・ギルモア、 チャールズ・アルトゥラ and more…
