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日・ASEAN友好協力40周年記念 『ドラムス&ヴォイセズ』

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公開
2013/10/14   10:00
テキスト
text :小沼純一(音楽・文芸批評家/早稲田大学教授)


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音・音楽のみならず、その背景も、音楽家たちのありようも浮かびあがる

異なったバックグラウンドを持った音楽——音楽にかぎらずもっと幅広く演劇や美術なども含んだアートと言ってもいいだろう——がひとつところで出会い、新しいものを生みだす。お題目としてはよく掲げられるし、実際しばしば行われたりもするのだけれど、それがはたしてただ「出会う」以上のものを生みだせるかどうかは、正直、頸をかしげることが多い。

出会いの新奇さのみが強調され、表面的な挨拶のようなシロモノでも、「文化交流」のイヴェントではそれなりに好評を得ることができるからだ。だが、それでいいのだろうか? それぞれのアーティストが何を感じ何を考えているか、時間をかけて、ときには対立したりずれたりすることさえも肯定しながら、“おなじ場所”“おなじ時間”を音楽というメディアをとおして実現することが必要なのではないか。

大島ミチル_A
音楽監督:大島ミチル

ずっとそんなことを考えていたのだが、今回おこなわれる『Drums & Voices』では、ヴェトナム、カンボジア、ミャンマー、タイ、ラオス、ブルネイ、というASEAN6カ国に日本が加わった7カ国、伝統音楽の演奏家は12名が、合計すると4週間もの「合宿」をおこない、“一緒にする音楽”を実現するという。

竹をならべ、その空洞にむけて両手を打ち、反響させるクロン・プット、小さなゴングを奏者のまわりに円形にならべ、鍵盤打楽器として奏するチー・ワイン、竹でできたシロフォンたるトゥルン、などなど、こうした国々のなかでは北に位置する私たちの列島にとっては、馴染みのない楽器も多い。ひびきが異なるだけではない。演奏のしかた、それぞれの音楽のなかでの役割が異なり、楽器の構え方、弾き方、それに連動した演奏者の身体のうごきも多彩で、その意味では視覚的なおもしろさもある。

異なった音楽=文化の音楽、音楽家をコーディネイトし、方向づけるのは大島ミチル。映画やTVでの音楽はもとより、近年は海外での活動もさかんな作曲家だ。

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東京公演SPECIAL GUEST:藤原道山

多くの場合、音楽そのものをまず聴いて、というふうにおもうのだけれども、これについてはある程度ワークショップについて、大島ミチルが公演ホームページで語っていることを読んでおくこともお勧めしたい。音・音楽のみならず、その背景も、音楽家たちのありようも、これによって立体的に浮かびあがってくる。

それぞれの国での公演の”ひとつ”、またしめくくりとして東京公演がある。人も楽器も音楽そのものも近いながらも異なった”複数”の音楽を、ぜひ、身近で体感できたら、とおもう。



LIVE INFORMATION


日・ASEAN友好協力40周年記念 『ドラムス&ヴォイセズ』
【日時】12/18(水)18:30開場/19:00開演
【会場】Bunkamuraオーチャードホール
【スペシャルゲスト】藤原道山 (尺八演奏家)
【チケット】全席指定 ¥5,000
【主催】国際交流基金/Bunkamura
【後援】TOKYO FM
http://drums-and-voices.jp/