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私の「1980年代ロック名盤」(新宿店)

チルでメロウなもの。ドープでブレイクビーツ感があるもの。またはその両方。なのでリストはかなり偏った、ゆえに所謂ベストヒットUSA的なものは殆どなし。お題である『80年代ロック』は、演奏レベルや表現方法、録音技術から制作バジェットまで音楽業界が円熟期を迎え、さらにパンク、ポストパンクの出現による音楽性の大胆な拡張に至ったレイト70'sを引き継いだその後の10年であるだけでなく、ヒップホップ、バレアリックやガラージ、コズミック・ディスコなどなど世界中で音楽の楽しみ方=リスナー主体による音楽のリサイクルがポピュラーになった時代でもあります。Sucking in the Eightieeeees!

Selected by

新宿店/TANAKAMAN
邦楽、シティポップ担当。ディスクガイドなどで紹介され尽くされているものはレビューから外しましたので順位はありません。

David Byrne & Brian Eno『My Life In The Bush Of Ghost(RM)』

現時点で廃盤(!)となっているトーキング・ヘッズの名盤『リメイン・イン・ライト』(80年)と対になる、バーンとイーノの共作アルバム。『リメイン~』がポップ・サイドとすれば、本作はより実験的な要素が高い内容になっており、テープの切り貼りや人力サンプリングによる大量のコラージュで構築された呪術的かつ中毒性の高い架空のワールド・ミュージックな音響空間を作り上げている。元来アカデミックな手法であったコラージュ・アートが、後のヒップホップやハウス・ミュージックと同等の肉体性を獲得した瞬間を捉えた貴重な記録。


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Cowboy Junkies『Trinity Session, The』

かのチバユウスケ氏も月に一回は聴くと語っていた名盤。土臭さのないカントリーというか、早すぎた”オルタナ・カントリー”。たった一本のマイクを使い教会で録音した狙いが奏功し、マーゴ・ティミンズのささやくような魅力的なボーカルも相まって静謐で透明感溢れる音響になっている。ジョージ・マイケルやインエクセスが大ヒットしていた88年当時のポップ・ミュージック・シーンにおいて、まさにオルタナティヴでありながら一生付き合える永遠に色褪せないエヴァー・グリーンな名盤。


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Moebius & Plank『Rastakraut Pasta(GER/REISSUE)』

電子音楽の匠メビウスと音響職人コニー・プランク親方による早すぎたベーシック・チャンネル。個人的にはかの名盤『ZERO SET』より断然コッチがオススメ!レゲエのリズムやBPMを換骨奪胎、音の分離を最大限に強調したミキシングと音質は中毒性高し。生演奏によるハンドメイド感溢れる演奏とループ感強めなトラック、何かが起こりそうで何も起こらない展開や微妙に牧歌的なメロディも可愛い。”意味はないけど気持ちはいい”的ジャーマン・ロックの哲学ここに極まれり。


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Bill LaBounty『ビル・ラバウンティ <期間生産限定盤>(LTD)』

ジャケットの髭面オヤジ顔(失礼!)からはまったく想像できない極上メロウAOR名盤。70年代に隆盛を誇っていたシンガーソングライターたちが徐々に80年代産業ロックに飲み込まれていった82年にリリースされた奇跡の一枚。同時代のブラック・ミュージック、フュージョン・サウンドを忍ばせたステディなBPM感やアレンジ、録音も完璧。なによりビルさんのSSW然とした朴とつながらもジェントリーな歌声とメロディが本作を特別なものにしている。たぶん貴方がこの手の音楽に求めるもののすべてがここにあります。


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Steve Hiett『渚にて…(LTD)』

コレを80年代ロックに挙げるのはちょっと反則ですかね、、、。当時、日本在住のフォトグラファーだったスティーヴさんのギター&ボーカルを主役に、加藤和彦~ムーン・ライダーズ関連ミュージシャンたちがバックを務めた日本盤オンリーの作品。近年、シティポップを通過した和レアリック的な文脈で若い日本のミュージシャンたちから発見&支持された一枚で、気怠い夏のバケーションをイメージさせる音像はジャケットのイメージそのもの。過度なエコー/ディレイがかかったどこかノスタルジックなギターの音響は、ZTT~ゴドレイ&クレームやドゥルッティ・コラム、ECMのSteve Tibbettsあたりに通じる極上なギター・アンビエントとしてもオススメ。


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Daryl Hall & John Oates『BIG BAM BOOM(+4/Blu-spec CD2)』

ブルーアイド・ソウルで世界イチ成功したデュオといえば彼らでしょう。"SHE'S GONE"、"Sara Smile"や"Private Eyes"などなどヒット曲は枚挙に暇がありませんが、80年代の一曲といえば個人的には今作に収録の"Out of Touch"でしょう!2週連続で全米1位となったヒット曲なので各種ベスト盤にも収録されていますが、プロデューサーのアーサー・ベイカー(アフリカ・バンバーター"PLANET ROCK"等を手掛けたエレクトロ・ヒップホップの立役者)によるハードコアなエレクトロ・ビート①のイントロから、間髪入れず②"Out of Touch"へと雪崩れ込む瞬間のカッコよさはオリジナル・アルバムでしか聴けません!


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Ian Dury『ロード・アップミンスター(+BT)』

パブロック番長がまさかのスライ&ロビーを従えバハマのコンパスポイント・スタジオで録音した、ディスコでパンクでポップでファンキーな一枚!盟友チャズ・ジャンケル(愛のコリーダ!)も参加、さらにミックスを名手スティーヴン・スタンレイが手掛けたコンパスポイント・スタジオ作品を代表する一枚でもあります。一連のアイランド・レーベルのNWディスコ作品(グウェン・ガスリーやグレース・ジョーンズなど)にも通じる、スラロビならではのウネウネとうねるベースと無機質なドラム&ダビーな音響、JB顔負けなイアン・デューリーの雄叫びがさらに熱くファンキーにぶっ飛ばしまくるロッキン・ディスコ名盤!


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Indoor Life『インドア・ライフ [2CD+ポスター]』

いまのご時勢を暗示するかのようなユニット名にびっくり!内容もドープでダークなアンダーグラウンドNWファンク裏名盤!トロンボーン/アナログ・シンセ奏者J.A. DEANEを中心に結成された流動的なユニットだったようで、かのビル・ラズウェルのセルロイド・レコードからもライセンス・リリースされ、変態シンセ・ディスコの神パトリック・カウリーからTuxedomoon、コントーションズのメンバーまで濃ゆ~いメンツが参加した4枚のシングル曲のすべてを収録したコンプリート音源集がこれ。ブッ太いブレイクビーツ、呪術的なシンセが不穏なムードをあおる知られざる自宅派ミュータント・ディスコ。


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Latul『ラチュール <初回限定生産盤>(PS)』

知る人ぞ知るオランダ産AOR(通称ダッチAOR)のカルト盤が日本オンリーで初CD化。実はオランダは隠れたAOR~ディスコ・フュージョンの一大産地であり、さらにフィリピン系の移民が多いため、ダニエル・サフリカなどこの手の良作がたくさん埋もれています。本作もそんな中の一枚で、ギタリスト&シンガーのクリス・ラチュールさん唯一のソロ作品。ただ、一言でAORと括れないのが本作のキモ。チルなギター・インストやメロウなフュージョン~ソウルなど全曲に通底するバレアリック&宅録感は、先入観なしで初めて聴いたときはマニュエル・ゲッチングのAOR作品かと思いました(個人的な感想)。英PYEのロゴを思いっきりパクったEYEレーベルのロゴが可愛い!


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The Human League/League Unlimited Orchestra『Love And Dancing [Remaster]』

”愛の残り火”の全英・米ヒットで知られる80'Sポップスを代表するシンセ・ポップ・グループ、ヒューマン・リーグ。本作はそのアルバム名義からも想像できる通り、YMOやジョルジオ・モロダーに影響を受けた彼らのコアな部分を浮き彫りにしたインスト・アルバム、所謂ダブ・アルバム。当時、方向性が錯綜した多くのNW~ポストパンク勢はこぞってエレクトロ・ファンク化し、それらが翻訳されて世界中のダンス・フロアに伝播。例えばデトロイトではその影響を受けた黒人のキッズがお化粧&肩パッドのビジュアル系ファッションでガシガシ踊るという誤訳が生まれ、それがデトロイト・テクノの萌芽となった。音質、メチャクチャ良いです。


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タグ : タワレコ名盤セレクション

掲載: 2020年05月21日 00:00