ニュー・マンチェスターの大本命、エジプシャン・ヒップホップ
90年代のテクノ・ダンス・ミュージック・シーンを牽引した名門レーベルにして、現在はあのジェイムス・ブレイクを筆頭にティーンガール・ファンタジーなど再びフレッシュな逸材を発掘し続ける<R&S>からついに待望のデビュー・アルバム「Good Don't Sleep」をリリース。
過去作品に比べて圧倒的に成熟したサウンドによって、彼らの魅力が一気に引き出され驚きに満ちた作品となっている。“Yoro”やリード・シングルとなる“SYH”といった楽曲は、『Remain In Light』時代のトーキング・ヘッズを彷彿とさせる鮮やかかつポリリズミックなビートが特徴。“Pendrell Sound”や“One Eyed King”には、シルヴァー・アップルズを連想させるストレンジなポップ・センスが漂う。“The White Falls”は、ゆったりと心地良く、徐々に徐々にリスナーを引きつけていくイントロと、突如耳を襲うクライマックスとのコントラストが特徴。アルバムの最後を飾る“lltoise”は、ドゥルッティ・コラムのような薄く柔らかい膜のようなサウンドが、まるでタンジェリン・ドリームのように大きく広がっていく。
『Good Don’t Sleep』のサウンドは、サイケデリアにも深く通じるが、刺激的なポップ・テイストも同時に兼ね備えている。EPをリリースした時点から注目を集めていた彼らにとって、本作は待望のデビュー・アルバムということになるが、彼らのこれまでの軌跡に基づいた作品であると同時に、無限大の可能性を感じさせるものでもある。今作はワイルド・ビースツ、ダークスターらを手がけるリチャード・フォームビーをプロデューサーに起用し、ウェールズの伝説的スタジオ【Bryn Derwen】でレコーディングされている。早熟なライティング・センスと確信的リズム・センス、そしてダンス・ミュージックを通過した音色は、まさに”今”のバンド・サウンドとして、高らかに新時代の到来を告げるだろう。
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掲載: 2012年10月17日 19:09