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ジョーン・オブ・アーク、コンセプチュアルなアヴァン・ロック一大絵巻

Joan Of Arc

 

2013年1月のキンセラ・ファミリーツアーでの来日も記憶に新しいティム・キンセラ率いる、言わずと知れたシカゴ発アヴァン・ロックの重鎮ジョーン・オブ・アーク。米Polyvinylからのリリースとしては約2年振りとなる本作は、バンドもそのパフォーマンスの一部として参加したシカゴの前衛劇団、マシュー・グーリッシュ&リン・ヒクソン(Every House Has a Door)による舞台『Testimonium』用に書き下ろされた曲群をスタジオにてリアレンジした作品集。CD1,000枚、LP550枚と限定プレスのPolyvinyl盤と同様に日本盤CDも限定500枚プレス。

激烈なギター・ロックを叩き付けたPolyvinylからの前作『Life Like』と同じくティム・キンセラ(Vo, G)、ボビー・バーグ(B)、テオ・カソウニス(D)のパワー・トリオを核に、2ndギタリストとして今年リリースのソロ最新作も素晴らしかったデイヴィッド・グラブス(ex ガスター・デル・ソル、ザ・レッド・クレイオラ、バストロ)、女性ヴォーカリスト、メリーナ・アウシカイティス、更にジム・ベイカー(Key)、フレッド・ロングバーグ-ホルム(Cello)、マイケル・ズィラン(Perc)らシカゴ・ジャズ・シーンの精鋭をフィーチャー。

かのポール・オースターも敬愛した客観主義派の詩人チャールズ・レズニコフが、アメリカ全土で実際に起こった事件の裁判記録を基にして、1885年から1915年という長期に渡り叙した未完の傑作『Testimony(証言)』をインスピレーションの源に、朗読、身体パフォーマンス、そしてジョーン・オブ・アークによる演奏という異なった3者を融合させた舞台『Testimonium』。その2年以上に渡るリハーサル期間を経て緻密に構成された楽曲は、ジョーン・オブ・アーク本来のバンド・アンサンブルの魅力に加え、レッド・クレイオラやガスター・デル・ソルも想起させるクールなアヴァン・ロックと、ティム曰くハリー・スミス監修『The Anthology of American Folk Music』を音響的参照としたという捩じれた弾き語り、そのいずれのアプローチもティム・キンセラの枯れることの無い異彩振りを示す仕上がり。

日本盤はアルバムの共同プロデューサーでもあるEvery House Has a Doorのマシュー・グーリッシュ自身による作品の制作プロセスを記した長文ライナーノーツの原文と英訳を完全収録。さらに、日本盤は1月の来日時にティムが持参していた、本人曰く「俺の最高傑作」という、昨年500枚限定LPとして発表された、各サイド19分超のアンビエント大作『Pine Cone』をボーナス・トラックとして完全収録。つまり、2 in 1仕様!

 

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掲載: 2013年07月26日 12:03