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キープ・シェリー・イン・アテネ、遂にフル・アルバムが完成

Keep Shelly In Athens

 

これまでFOREST FAMILY、TRANSPARENTなどインディ名門、そしてダンス・ミュージックの老舗、PLANET MUからもリリース、そして多岐にわたるリミックス・ワークもこなし、ロック~ポップ、チルウェイヴ~シンセポップ、エレクトロニック~ビート/ベース・ミュージックまでをまたにかけ、昨今のインディ・シーンにおける注目の存在へと躍り出た。

本作『AT HOME』は、緻密でシンプルなレイヤーとテクスチャーながら、これまで培って来たものの集大成とも言える作品に仕上がっている。ベース・ミュージックを通過した感のあるボトムと、ディスコ的な躍動感、シンセの浮遊感とゆらぎを生かしつつ、ノスタルジックなメロディが漂い、サラの柔軟で弾力のあるヴォーカルが溶け込んでいくサウンドは、心地よくヴァレアリック!

冒頭から重層的なシンセのフレーズとエフェクトに、ピッチ・コントロールでスクリューさせたヴォーカルをアクセントとして鏤めた幻惑的でドラマティックなトラックで幕を明け、懐かしくも温かなムードが漂うリヴァービーなシンセとメロディが印象的な「OOSTENDE」へ。そして先行シングルとしてリリースされた「RECOLLECTION」では小気味よいブレイクビーツとヴォーカル・ループを核に、煌びやかなシンセを浮遊させ、サラの滑らかなヴォーカルを溶け込ませていくポップ・ソングを展開。反復ビートとシンセと、後半にはヴォコーダー・ヴォーカルを駆使した「FLYAWAY」、トリップホップ的なムードも感じさせるミステリアスな「HIGHER」を経て、こちらも先行でシングル・リリースされた「MADMEN LOVE」へ。ダブステップ的ビートに乗って展開しつつ、ギターの音色も介入する後半のクライマックス感に引き込まれる。その後もサラのヴォーカルを核にリリカルなシンセのフレーズの浮遊感を生かし、多彩なビートを絡めたヴァリエーション豊かなサウンドが繰り広げられる。『OUR OWN DREAM』に収録されていた「DIY」が再収録され、サラのエフェクティヴなヴォイスのシャウトも切り込むドライヴィンなサウンドもあり、極めて刺激的な内容に仕上がっている。

チルウェイヴやシンセポップ以降のシーンで評価を高めつつも、現代版セイント・エティエンヌとも称されるそのサウンドは、世代を超えて幅広いリスナーに受け入れられることは間違いない。

 

 

タグ : UK/US INDIE

掲載: 2013年09月19日 09:59