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USインディ・アンダーグランドの寵児=ジェイムス・フェラーロ

James Ferraro

 

自主レーベル〈New Age Tapes〉を立ち上げ2000年半ばより40以上にも及ぶ名義やプロジェクトで作品を量産、80年代をソースとしたニューエイジやシンセポップのサウンドやスタイルを用い、ヴェイパー・ウェイヴの先駆けとして時代の空気を常に批判性のあるシニカルな切り口で10年代USインディ・シーンにおいて絶大な賞賛を得る孤高のミュージシャン、ビデオ・アーティストでもあるNYを拠点とするアヴァンギャルドな多作家。

後に〈Underwater Peoples〉からもリリースとなった 自身のレーベル〈Muscleworks Inc.〉からの話題作『On Air 』(2009)を皮切りに、〈Olde English Spelling Bee〉、そして〈Hippos In Tanks〉など現行インディ・シーンの先鋭的レーベルからアルバムを発表。それまでのローファイから一転し、擬似的なデジタル音を用い話題作となった同レーベルからの『 Far Side Virtual 』(2011)は英WIRE マガジンの年間チャート第一位を獲得、 続く『Sushi』(2012)ではエレクトロニックなビート作品を発表、そして2013年の6月に発表されたミックステープ『Cold』ではR&B/ヒップホップ/エレクトロへとアプローチ、大都市の夜を舞台とした暗黒の世界へと深化。

その続編とも言える今作は808やサンプリングを使ったヒップホップのプロダクションを下地に、 R&Bのクリシェでもあるオートチューンやスクリュー・エフェクト、力のないか細いボーカル、情景を映し出すフィールド・レコーディングやノイズ、意味深な言葉を連発するPCボイス、ストリングス、ピアノ、ベルなどゴシックな雰囲気漂う重厚で荘厳な旋律のクラシカルなサンプリング、 淡々とした機会的でプラスティックな冷たい都会の情景と日常、孤独と欲望でひしめき合う刹那的な熱い都会の感情とドラマ、そしてテレビのニュースやインターネットが複雑なレイヤー入り組んだ、資本主義経済が崩れ落ち暗黒の時代を迎えた現代における大都会のディストピアを描いた唯一無二の傑作へ。

 

 

タグ : UK/US INDIE

掲載: 2013年10月04日 15:06

更新: 2013年10月30日 17:30