メロディック・ロック/AORプロジェクト=ソニック・ステイションからインタビューが到着
スウェーデン出身のギタリスト/ プロデューサー/ ソングライターであるアレクサンダー・クロンブリンクよるメロディック・ロック/AORプロジェクトのセカンド・アルバム『Next Stop』。彼のクリエイターとしての資質が開花、キャッチーで色彩豊かなメロディをフィーチュアしたサウンドにさらなる磨きがかけられている。
繊細な感覚を漂わせていた前作と比較すると、新作は曲調にバラエティが増し、力強く、メリハリある質感を強調。よりレベル・アップした姿を見せてくれる。また前作では4名のシンガーをフィーチュアしていたが、新作では男女2 名体制へと変化。女性シンガーのマリカが3曲で、そして新任の男性シンガー、ヨハンが8曲でリードを担当。
この作品はTOTO ファンへはもちろんのこと、近年の北欧メロディック・ロック勢に近づいた特にワーク・オブ・アートに通じる仕上がりとなっており、AOR/産業ロック、メロディアス・ハードのファンにまでオススメできる音楽性が凝縮されている。
【SONIC STATION インタビュー with アレクサンダー・クロンブリンク(g)】
Q ; 日本でも発売されたデビュー・アルバムのメディア、ファンからの反応はいかがでしたか?
AORファンやメディアからは予想以上のいい反応をもらうことができた。いい内容のレビューや、ファンからのメールはとても嬉しかった。でも自身でサウンドが少しソフト過ぎたかなと思ったよ。よりウェストコースト寄りのサウンドでアピールすることができればさらによかったと思う。初期の頃は趣味的なプロジェクトだったから、単に曲を作っては録音していたんだ。そんな中でアルバムを発売しないかという話がきた。時間が制約された中で曲を整理、準備し、レコーディング、ミックスと慌しい中で作業を行っていったので、その仕上がりをじっくりと吟味、修正することができなかった。でも次に繋げることができるいい勉強になったさ。この時の経験を活かして制作したのがこのセカンド・アルバム「Next Stop」さ。曲もレコーディングも準備万端で挑むことができたから、集中して効率よく仕上げることができた。断然「Next Stop」の方がいい出来映えさ。
Q ; デビュー・アルバム発売後のプロモーション活動、ツアーについておしえてください。
デビュー・アルバムをリリースした後、すぐに次のアルバムを制作したいという気持ちになった。だから、ツアーは行っていないし、そんなに多くのプロモーション活動もしていないんだ。インタビューはいくつか受けたけどね。アルバム・リリース直後から共同ソングライターたちと曲を作り始めたんだ。よりパワフルで、より素晴らしいサウンド、よりメロディックで、よりAOR的な作品を作ることを目標に掲げてね。
Q ; SONIC STATIONというバンド名はどのようにして命名したのですか?
最初はSONIC SENSATIONに決めようとしていた。でも父が、「SONIC STATIONの方がいいよ。名前の響きがクールだし、ラジオ局を連想させると思うから、キミたちの音楽とのイメージもピッタリ合うはずさ。」というんだ。父の意見に同感したから、最終的にSONIC STATIONになったというわけさ(笑)。
Q ; SONIC STATIONの結成の経緯を教えてください。
ボク、アレクサンダー・クロンブリンクがこのプロジェクトをスタートさせたのさ。プロデューサーで、ソングライターで、ギタリストでもある。音楽の道を目指し、ストックホルムの王立音楽大学に入学したときに、シンガーのマリカ・ウィルステッドに出会った。大好きなTOTOとかAORのバンドについて時間を忘れては話していたよ。意気投合したボクたちは、一緒に曲を書くようになった。最初はポップな曲ばかりだったけど、次第にいい曲が書けるようになっていったさ。デビュー・アルバムに収録されている曲“I Wish I Could Lie”はまさにその頃に作った曲さ。そして、ある日Frontiers Recordsからアルバムをリリースしたいと話が来たんだ。嬉しかったけど、5年から6年の間に書き溜めた曲をひとつにまとめる必要があったし、バンドとして100%機能している状態ではなかったから、準備するのが大変な作業だった。知人に頼み込んでいろいろと助けてもらった。現DIRTY LOOPSのヘンリック・リンダー(b)とアーロン・メルガード(ds)もアルバムに参加してくれた。ヴォーカルにはマリカを筆頭に計4人に参加してもらった。サポートしてくれたみんなにホント感謝しているよ。
そうっ、SONIC STATIONを結成した直接の要因はAIRPLAYのアルバムの凄さに触発されたからなんだ(笑)。このアルバムに出会えなければ、SONIC STATIONが存在することはなかったと思うよ。
Q ; アレクサンダー、あなたが影響を受けたミュージシャンを教えてください。
いろいろな影響を受けてきたよ。ジャズ、ロック、ソウル、ファンク、SSW、メタルを今でも聴くしね。最初に影響を受けたのは90年代初頭のマイケル・ジャクソンさ。まだ10歳そこそこだったと思う。それからABBA、THE BEATLESと聴き始めたんだ。そしてギターを始めると、ギター・オリエンテッドな音楽に傾倒していった。グランジが台頭した頃で、SOUNDGARDEN、NIRVANA、PEARL JAMを聴くようになっていた。SOUNDGARDENの「Superunknown」は特に好きだった。ティーンエイジャーのときはMETALLICA、RAGE AGAINST THE MACHINE他、ヘヴィ・ロックを聴き漁ったさ。やがてジャズやフュージョンに興味を持ち始めると、メタルからPAT METHENY GROUPへとその興味が変わってしまった(笑)。リー・リトナー、ジョン・スコフィールド、ビル・フリーゼルのアルバムを聴いていくと、ジャズをプレイし、理論にも興味を持ちはじめた。ストックホルムの王立音楽大学ではジャズ・ギターも勉強したよ。それからはラリー・カールトン、ロベン・フォード、マイケル・ランドゥへとはまっていったのさ。そして、STEELY DANやTOTO, AIRPLAYといったロスのウェストコースト・シーンにも強い憧れを持つようになっていた。
Q ; あなたにとって大切なアルバムを5枚教えてください。
マイケル・ジャクソン「Bad」
初めて買ったアルバムさ。曲、プロダクション、エナジーと非の打ちどころがないアルバム。そして好きなミュージシャンが多く参加したしね。シンセやドラム・マシーンが80年代後期を象徴しているサウンドで好きさ。マイケルと参加しているミュージシャンとの繋がりを感じることが出来るし、それが音となって表れていることに今でも惹かれるんだ。
SOUNDGARDEN「Superunknown」
MTVで流れていた“Black Hole Sun”を観て好きになった。今でも好きな曲が収録されているし、とてもオーガニックで、クリーンなサウンドが印象的だよね。クリス・コーネルが歌う楽曲とギター・アレンジが今でも新鮮だし、マット・キャメロンのドラムがいいのさ。
THE BEATLES「Abbey Road」
THE BEATLESの大ファンさ。ポールとジョンの素晴らしいソングライトにいつも感銘を覚えるよ。多くのアルバムの中から一枚を選ぶとしたらこのアルバムだね。楽曲、アレジ、プロダクションの面から見てもこれだと思うよ。偉大な曲はもちろんだけど、異なった音楽のスタイルに合わせてミックスをしている点はとても興味深い。特に9曲のメドレーが好き。
リー・リトナー「Alive In L.A.」
‘99年に父の友人がこのアルバムを貸してくれたんだ。今でもこのアルバムの素晴らしさに惹き込まれたあの感覚を覚えているよ。これはライヴ・アルバムだけど、メロディックなリトナーのベスト・ソングとあのギターのトーンが素晴らしいよ。そしてビル・エヴァンスのサックスが最高さ!
AIRPLAY「Airplay」
ミュージシャンの知り合いがある日こう言ったんだ。「キミが絶対に好きになるレコードを知っているけど聴いてみる?」ってね。そしてこのAIRPLAYのアルバムを見せてくれたのさ。ロックも、ジャズも好きなボクにとって、このアルバムの持つ完全なコンビネーションに完全にやられたね。スウィートなメロディとハーモニー、サウンドと完璧さ。ジェイ・グレイドンのギターも素晴らし過ぎるよ!今から何十年も前にこんなサウンドを築いていたなんて、クールすぎて言葉も見つからないさ。SONIC STATIONを本格的にスタートさせたのはこのアルバムの存在が一番の理由さ。
Q ; 現バンドのメンバーを紹介してください。
マリカとはプロの音楽シーンにまだ慣れていないときに出会った。そして彼女と音楽活動をスタートさせた。現在マリカはスウェーデンではかなり知られたセッション・ミュージシャンとして活動を行っている。ピアノも弾けるし、歌も上手いしね。スウェーデンでは大物アーティストとのライヴも多く行っている実力のあるミュージシャンさ。いい歌詞も書いてくれるよ。
ヨハン・ボーディングは、スウェーデンのミュージカル・シーンで長い経歴を持つシンガー。ヨーロッパを中心に活動するシンガーでもある。多くのアーティストのバック・シンガーを務め、QUEENのトリビュート・バンドではリード・シンガーを務めているから有名だと思う。かなりの成功を収めているよ。彼はマリカが推薦してくれたのさ。彼を起用してデモを数曲レコーディングしたけど、彼が歌って数秒で完璧だと感じたさ。彼こそSONIC STATIONのシンガーになるべき人材だってね。その時からSONIC STATIONのシンガーはマリカとヨハンの2人体制に決まったのさ。
キーボードはジョナサン・フリッツェン。彼とは10代のころからいろいろなバンドでハード・ロック、ポップ、ジャズと幅広くプレイしてきた。ジョナサンは自身の音楽性を確立していて、素晴らしいキャリアを築いている。スムーズ・ジャズ界では有名な人物で、アメリカのビルボードでは№1を何度も獲得しているよ。彼のレコードではギターをプレイさせてもらって光栄さ。
ベースのエリック・メタールとは音楽学校時代に知り合った。エンジニアでもある彼はSONICN STATION初期のデモ作業も手伝ってくれた。フリーでミュージシャンとエンジニアとしても活動しているナイスなヤツだよ。とにかくウェストコースト・サウンドが大好きなんだ。デビュー・アルバムではミキシングも担当してくれた。
ドラマーのソーレイフ・ロバートソンとは’12年の夏に知り合った。いくつかのギグで一緒にプレイしていたけど、AORやロックが大好きな彼とはすぐに意気投合したね。TOTOの大ファンである彼はウェストコースト系のアルバムならほぼ網羅しているハズさ。SONIC STATIONにはレギュラーのドラマーが居なかったので、彼のお願いしたら快く受け入れてくれた。ドラムの腕も確かで、テクニックはもちろんのこと、感情豊かなプレイもみせてくれる。そして、アレンジのこととかアイディアを提案してくれるから、今では頼りにしている存在さ。
ボクはギタリスト、プロデューサー、ソングライターとして多くの時間を自分のスタジオで過ごしているよ(笑)。ミックスもやらなくてはいけないしね。とにかくスタジオでの仕事がメインだね。これまでもいろいろなバンド、様々なアーティストとの活動を積んできた。一時期、キーボードのジョナサン・フリッツェンと、今では大きな人気を誇るDIRTY LOOPSのドラマー、アーロンとベースのヘンリックとでMOONLIGHT SAILORSというバンドを組んで活動を共にしていた時期もあるんだ。
Q ; 各曲についてコメントをいただけますか?
Amelia:
1曲目だからアップ・テンポで、キャッチーなコーラスで彩るロック・チューンにしたかった。コーラスのマチルダの提案で女性の名前をタイトルにすることにした。コード進行とメロディはとても気に入っているよ。ヨハン声もいい感じだろ?でもキーを何回も変えてみたりと、かなりの試行錯誤があったよ。
Catch Me If You Can:
この曲はアルバムの中で唯一の“グランジ”テイストさ。コーラスはギターをドロップDチューニングにしてプレイしていたら思いついた。ヘヴィなギター・リフをキープしつつも、コーラスにはポップな要素を配置するように務めたのさ。
Brighter After Dark:
これもストレイトでアップ・テンポなロック・チューン。マリカとボクとで2時間で仕上げた曲さ。イントロを考え、歌、コーラス、ブリッジという順で書いた。全てをとても自然な感じで作り上げることができたよ。最後にマリカが歌詞を書き上げた。
Fool For Your Love:
共同ライターのマティアスが歌を聴かせてくれたときに素晴らしいバラードになるに違いないと感じた。とにかく様々なパーツをパズルのように組み合わせては分解し、かなり試行錯誤した。そして完成したのがこのヴァージョンさ。デイヴィッド・フォスター期のCHICAGOからインスパイアされたよ。“Hard Habit To Break”とか、“You're The Inspiration”、“Hard To Say I'm Sorry”にね。ソロはナイロン弦のギターによるもの。美しいストリングスも聴いて欲しいな。
Stopped Beating:
ダンスっぽいフィーリングとリズミックなメロディがあるよね。シンセでいろいろなサウンドを試しているときにイントロが浮かんだ。共同ライターであるマチルダが歌詞を書いてくれた。
Where Are You Now?
これもひとつの楽曲にするために、いろいろなアイディアを出しながら創り上げた。最初はイントロのギター・リフと歌メロを作り、それに違ったコーラス・スタイルを試しながらこのパターンに決めた。メロディは、ホイットニー・ヒューストンに影響を受けている曲なんだ。
Half Of My Heart:
イントロのリフはジャムをしながら書いた曲。それから歌、コーラスと書いていった。R & Bのグルーヴな感覚に、ヘヴィ・メタルっぽいテイストを加えた感じかな。歌やコーラスはDEF LEPPARDの「Hysteria」からインスパイアされているかもしれない。特にギターのアレンジがね。
Broken Man:
デイヴィッド・フォスターとピーター・セテラの曲“No Explanation”からの影響が強く出た曲。映画「Pretty Woman」のサントラに収録されている曲さ。テンポ、グルーヴ、転調からそれを感じることができると思う。ドラマーのソーレイフがデモを聴いたときに、TOTOっぽいドラムのグルーヴで行こうとアイディアを提案してくれた。とても曲にマッチしたと思うよ。
Love Clash:
このアルバムのために作った最初の曲。このコーラスに決めるまでに5, 6回コーラスを変更したと思う。このコーラスがはまった時は鳥肌が立ったよ。ギター・ソロよりもピアノをフィーチュアすべきだと感じてこの間奏にした。それはCHICAGOの“Niagara Falls”からインスパイアされている。
Last Goodbye:
ソングライターのマチルダがソウルの大ファンなので、そのテイストが盛り込まれている。メロディやコード進行にね。アルバムに収録した他の曲とは少し違った感じを醸し出していると思うよ。でもアレンジがDEF LEPPARDっぽい箇所もあると思う。
Hide And Seek:
たった1時間で仕上げた曲。スウェディッシュ・フォーク音楽に影響されているんだ。翳りを感じることができるメロディと壮大な感じが好きなんだ。10年前に書いたジャズっぽい曲を引用しながら、少し長めのギター・ソロを入れたいと思っていた。古いフォークとジャズのテイスト、そして新しいパーツを上手く組み合わせ、完成したその仕上がりにはとても満足しているさ。
加えて日本盤には4曲のボーナス・トラックが収録されることになった。“Love Clash”と“Broken Man”は新たにミックスを施したヴァージョン。よく聴いてみるとオリジナルとの違いに気がつくと思うよ。“Catch Me If You Can”はライヴ・ヴァージョンさ。結構ハードだろ?ツイン・ギター体制さ。そして“Love Clash”のデモ・トラック。初めてヨハンが参加してその歌声を聴かせてくれた時の音源さ。
Q ; アルバム「Next Stop」のセールス・ポイントを教えてください。
80年代のAORに影響を受けたロック・アルバムに仕上がっているよ。デビュー作は時間不足が否めなかったけど、このセカンド・アルバムは準備万端で挑むことができた。進むべき方向性も見据えていたので、ソングライトも納得できるものとなった。今回からは正式なバンド体制となったし、シンガーも男性と女性の2人で固めることができたから、そのバンド然とした音がアルバムの中で聴くことができる。そして、よりAORオリエンテッドな仕上がりになったと思う。特にメロディをメインに据えた楽曲とフレッシュなサウンドが凝縮しているはずさ。
Q ; 日本のメロディック・ロック/AORファンへメッセージをお願いします。
みんながSONIC STATIONの音楽を聴いて気に入ってくれることを願うばかりだよ。デビュー・アルバムを知っている人も、この「Next Stop」ではじめてSONIC STATIONを知った人も、とにかくアルバムを聴いて欲しいさ。いつか日本に行ったらキミたちのためにプレイするから是非楽しみに待っていて欲しい。みんな、いつもサポートをありがとう。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2015年03月06日 12:27