コリーン、幻想的な新境地へと到達した5作目
本作『Captain of None』は、突出したベースラインと多彩でパーカッシヴなエフェクトによってテンポの速いトラックを構築し、彼女の作品のなかで最もメロディックなアルバムに仕上がっており、さらに幻想的な新境地へと到達した印象。
レコーディングはスペインはサン・セバスチャンの自身のスタジオで行い、ミックス、プロデュースまでを全て自ら担当している。これまでの作風はサンプルやループをベースにしたミニマルなコンポジションが主体だったが、本作からはヴィオラとヴォイスを焦点にしている。そしてダブにインスパイアされたテクニックを取り入れ、異世界のポップスへと昇華させた。
幼少期の1976 年から1979 年まで彼女はリー・ペリーのカセットテープに夢中になり、オーガスタス・パブロなど、ジャマイカの音楽に傾倒し、息をのむような創作力で録音された様々な驚くべき音楽に畏敬の念を覚えた。本作にはその影響と技術が如実に盛り込まれており、パーカッションとヴォーカルにダビーなエコー・エフェクトをかけ、ヴォーカルのフォードバックやアナログ・グリッチを創るためにMoogerfoogerのディレイ・ペダルを駆使し、箸やインドネシアの金属印刷ブロックなど、自宅の私物もパーカッションとして使用し、ヴァリエーション豊かで型にはまらない独特の音世界を完成させている。
これまでのコリーンのリスナーだけでなく、さらに幅広い人々に受け入れられるであろう秀作だ。
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掲載: 2015年04月02日 12:44