ウディ・ガスリーの伝統を今に伝えるSSW、ジョエル・ラファエル
50年以上のキャリアを持つ、シンガー・ソングライター、ジョエル・ラファエル。学生時代からソングライティングと演奏を始め、やがてベトナム戦争の動乱の中、徴兵を逃れるために、カリフォルニアからオレゴン、そしてまたロサンゼルスへと移り住んだ彼は、生活のために様々な仕事をしながら、ソングライティングの技量を磨いていったという。
そしてベトナム戦争が終わり、サンディエゴ北部に安住の地を見つけた彼は、そこでアボガドを育てながら曲作りを行い、そして友人の経営するブルー・りっじ・ギター・ショップで、再び観客の前で演奏をするようになった。70年代後半には、ロージー・フロレスとのデュオで南カリフォルニアをツアー、さらにソロ・アーティストとしても地元を回るアーティストのオープニング・アクトとしてステージを飾るようになる。
1990年代には自身のジョエル・ラファエル・バンド名義でアルバムをリリースしてきた彼は2000年代に入ると、ウディ・ガスリーの作品を演奏した2枚のアルバム、『Woodeye (2003年作品)』と『Woodyboye (2005年作品)』をリリース、それらの作品には、ウディが遺した詞に自ら音楽を付ける楽曲もおさめされている。その後も、2012年のウディ・ガスリー生誕100周年の年に行われた数々のトリビュート・コンサートに参加し、ウディ・ガスリーの音楽をアメリカ各地に伝えていった。
半世紀以上に亘るキャリアの中で、ジェシ・コリン・ヤングや、ジョーン・バエズ、CS&N、ローラ・ニーロ、エミル―・ハリス、ジョン・リー・フッカーなどのオープニング・アクトを務めてきた彼の通算9作目となるフル・アルバム『BALADISTA』が発売となる。
10曲のバラードを収めた本作には、決して平穏な人生を送ってきたとは言えない、彼ならではの、温かで優しい視点に満ちた、人間賛歌の楽曲が収録されている。
掲載: 2015年04月07日 10:33