エアロスミス最新ライヴ作品『ロックス・ドニントン2014』日本先行発売
『エアロスミス・ロックス・ドニントン2014』は、そのタイトル自体からも察することができるように、英国のドニントン・パークで収録されたエアロスミスの最新ライヴ作品である。英国最大級の規模と動員を誇る大型野外フェス、『ダウンロード・フェスティバル』の開催地として知られる同地だが、彼らは2014年6月15日、同フェスにヘッドライナーとして出演。3日間に亘って開催された同フェスの他の公演日でトリを飾っていたのは、アヴェンジド・セヴンフォールドとリンキン・パークで、他にもロブ・ゾンビやフォール・アウト・ボーイなどが出演者として名を連ねていた。
公演当日、ライヴの幕開けに据えられたのは、ヤードバーズのレパートリーとしても知られる「トレイン・ケプト・ア・ローリン」のカヴァー。インディアンの羽根飾りで勇猛かつ艶やかに武装したスティーヴン・タイラーのステージ・パフォーマンスは、その瞬間からエナジー全開だ。以降、ステージは「ドリーム・オン」や「ウォーク・ディス・ウェイ」から「ミス・ア・シング」、さらには現時点での最新オリジナル・アルバムにあたる『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』からの「フリーダム・ファイター」(この曲ではジョー・ペリーがリード・ヴォーカルを担当)に至るまで、さまざまな時代の楽曲を網羅しながら進行。バンドは70年代の代表曲から21世紀生まれの“新しいエアロ・クラシックス”までをも盛り込みながら、大観衆を一瞬たりとも飽きさせることなく約90分を駆け抜けている。最後の最後、名曲「スウィート・エモーション」で終了したはずのアンコールの末に、「終演時刻なんて知ったことか!」という声とともに披露されたのが1stアルバムからの「ママ・キン」だというのも、なにやら象徴的だ。そう、エアロスミスはこれほどまでにビッグになっていながら、その根幹の部分は70年代からまるで変わっていないのだ。
収録内容的には、まさに痒いところに手が届いた選曲のライヴ・ベストといえるもので、これはマニアにとって必見であるのみならず、エアロスミス入門者たちにとっても最適なアイテムと言っていいだろう。そして重要なのは、この作品が劇場での上映を想定した“映画”として制作されているという事実だ。いわゆるドキュメンタリー的な要素が盛り込まれているわけではなく、あくまでライヴ作品ではあるのだが、とにかくその生々しい臨場感と巨大フェスならではのスケール感を余すところなく伝えてくれる立体的映像は、従来のライヴ映像作品の常識を超えたクオリティといえるものだ。
【メンバー】
スティーヴン・タイラー(ヴォーカル)
ジョー・ペリー(ギター)
ブラッド・ウィットフォード(ギター)
トム・ハミルトン(ベース)
ジョーイ・クレイマー(ドラムス)