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ヴァシティ・バニヤンのファンにおすすめ!エストニアのSSWマリ・カルクン新作

Mari Kalkun & Runorun

 

エストニアのシンガー・ソングライター、マリ・カルクンのサード・アルバムが完成した。この新作の最大の特徴は、これまでの作品と違いバンド編成で制作されていることだ。ドラム&パーカッションとダブル・ベース、そしてフィンランドのカンネルとも言えるカンテレ(カンネルよりひと回り大きい)&ボーカルによる計4人でのレコーディングとなっている。リズム隊が入ったことで曲に立体感が出て、フロントにふたりのボーカルとメロディ楽器が入りハーモニーが強調されている点が最大の変化だと言えるだろう。レコーディングは南エストニアの田舎にある簡素なスタジオで行なわれた。そこはマリ自身のルーツに近い地域で、眼下に湖が広がる落ち着ける場所だったそうだ。期間は2014年のひと夏のこと。

マリはこのアルバムを説明するときに、“ルノ・ソング”という言葉をよく口にする。“詩の歌”という意味だ。エストニアン・トラディショナル・フォークをベースにしながら、ヒップホップなどに代表される言葉/歌詞を立たせたコンテンポラリー・ミュージック・スタイルを意識した曲作りをし、そしてそれを南エストニアの言語ヴォロ語で歌う。歌詞のテーマは大地に根ざした生活の歌……それを彼女は自身の造語で“ルノ・ソング”という言葉で表現する。

それは借り物でない血肉の力強さ(伝統)と、そしてそこに留まらず前進しようとする姿勢(先進性)が重なって、独自の気高さと美しさを放っている。湿気のない透き通った北欧の大地を駆け抜ける風のような歌……個性という意味では、唯一無二の音世界が確立していると言っても言い過ぎではないだろう。このアルバムを聴いていると、歌の可能性が一段と広がった印象を多くの人が持つに違いない。

「目の前で3曲を聴いたけど、とてもいいね! プロフェッショナルだよ!」-パスタカス

 

 

 

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掲載: 2015年08月10日 12:11