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80年代後期のデス・メタル・スタイルを貫くエントゥームド A.D.新作

Entombed A.D.

 

2013年春、スウェーデンはストックホルムを拠点とするデス・メタル・バンド、エントゥームドが新作をリリースするというニュースが報じられたが、ほどなくして「技術的な問題が発生したため新作の発表は2014年に延期する」というアナウンスがなされた。しかし2014年、オリジナル・ギタリストでバンドのメイン・ソングライターでもあるアレックス・へリッドがバンドから突然離脱、L.G.ペトロフ(ヴォーカル)、ニコ・エルグストランド(ギター)、ヴィクター・ブラント(ベース)、オッレ・ダールステット(ドラムス)の4人は約1年に亘って表立った活動を行なうことが出来なくなってしまう。法的問題が生じることも考えられるため、L.G.以下の4人はエントゥームドではなく、新たにエントゥームド A.D.という名義で活動を続けることを決断、アルバム制作に向けて曲作りを随時進めていくことになった。そうした一連の経緯から、エントゥームドの新作発表延期の理由は「技術的な問題」ではなく「法的問題」だったことが明らかとなった。ともあれ、エントゥームド A.D.の4人はアルバム制作を続行、2014年8月にこの名義としては初のアルバムとなる『バック・トゥ・ザ・フロント』をリリースした。

エントゥームドとしても、90年代以降に追究したデス&ロール路線やオルタナティヴ・ロック寄りのサウンドから一旦離れ、「SERPENT SAINTS」(2007年)ではバンドの原点に戻った作風を提示してみせたが、L.G.達は新たにスタートさせたエントゥームド A.D.においても80年代後期のデス・メタル・スタイルに確信的に復帰、ファースト・アルバム『バック・トゥ・ザ・フロント』において彼らの創作面の堅調ぶりを大いにアピールした。そしてこのたび完成したエントゥームド A.D.にとっての2枚目のフル・アルバム『デッド・ドーン』においても前作の作風を継承しつつも、よりヘヴィでダークでアグレッシヴな曲調を追究、彼らのクリエイティヴィティの充実振りをまた強く印象づける仕上がりとなっている。

L.G.自身は前作『バック・トゥ・ザ・フロント』について、「エントゥームドの初期の2枚、『LEFT HAND PATH』(1990年)と『CLANDESTINE』(1991年)の2枚に匹敵するくらいに気に入っている」と語っていたが、本作『デッド・ドーン』についても同様の見解を表明するものと見られる。ストックホルム最古参のデス・メタル・バンドの1つである“本家(エントゥームド)”の不在はこの“分家(エントゥームド A.D.)”が埋めてみせる――。そう高らかに宣言する新作の登場である。

 

 

 

タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)

掲載: 2016年02月09日 18:45