NYジャズ・シーン注目度No.1!サックス奏者マリオ・カストロ、チェンバー・ポップ・ジャズ作品
元々グレッグ・オスビーの〈Inner Circle〉レーべルからリリースした初リーダー作『primavera』の時点で、クリス・バワーズ『Heroes and Misfits』にも参加していたインディー・ロック寄りのシンガージュリア・イースターリンを迎えて美しい歌ものを収録していたコンポーザー志向のマリオは、ここでも控えめなラテンのリズムを随処に忍ばせたエレガントなグルーヴや、キャッチ―なストリング・アレンジを駆使し、クオリティーの高いチェンバー・ポップ・ジャズを作り上げた。
そのメロディーセンスを活かした歌ものがどれもポップで素晴らしく、ロバート・グラスパー・エクスペリメントのケイシー・ベンジャミンがヴォコーダーで歌うや二人のスキャットを乗せたフレンチ・ポップ的なタイトル曲などが絶品だが、ダヴィッド・ サンチェスやデイブ・リーブマンを迎えてのインストも各楽器の音色やテクスチャーを絶妙に配置し、時に淡くメロウに、時にダイナミックにこのアンサンブルでしか描けないストーリーを描く。近年屈指のUS 産ポップスジャズアルバムだと思う。
解説 : 柳樂光隆 Jazz The New Chapter
掲載: 2016年02月15日 14:06