フランスの4人組ポップ・バンド=Manceau (マンソー)のセカンド・アルバム
photo : Gaelle Evellin
Tahiti 80のグザヴィエ&ペドロがプロデュースしたデビューアルバム『Life Trafic Jam (マンソーの人生讃歌)』がここ日本でも話題を呼び、来日(Tahiti 80の来日公演の前座を含む)も果たした、フランスはレンヌ出身の4人組ポップ/ロックバンド、Manceau (マンソー)の2ndアルバム。Tahiti 80の名盤『Puzzle』から脈々と受け継がれる、フランス産ハーモニーポップの系譜の作品ながら、その突き抜けたメロディ&ポップセンスの輝きは本物。ヴォーカリスト、ジュリアンの澄んだ歌声を活かし、徹底的に良質の楽曲を生み出すことに拘ったそのポップサウンドに迷いは感じ取れず、シンセポップ色の強かった前作を遥かに上回る傑作に仕上がりました。
前作同様、上質の60'sポップスからの影響が伺える良質のメロディラインは全編で貫かれており、どこを聴いても一聴で耳に残る傑作ですが、トリッキーな鍵盤やヴォーカルエフェクトを程よく交えるエレクトロ的アプローチや、オーソドックスながらも巧みに聴かせるコーラスワークも絶品。さらには全編が英詞という点も、彼らが母国語に拘らず、より広くワールドワイドに受け入れられる資質の持ち主であることが伝わります。
キャッチーさ、しなやかなグルーヴ感、サビでの圧倒的な高揚感が最高なタイトル曲「02. I wanna」が大物の風格すら漂う名曲ですが、華やかなに幕を開け、ポップにひた走るシンセ・アコポップ「 01. Cool Day」はまさに"クールな1日"の始まりにぴったり。他にも、心地よいストリングスが描く爽快なポップソング「05. Brian」、アコギのストロークが心地よい普遍の好曲「06. Invisible」、「09. Waterfalls」などからも、彼らのスケール感が伺い知れます。本作のミックスは、同郷のAirの名作「Moon Safari」やCassiusなどを手掛けるStephane "Alf" Briatによるもの。彼らの持ち味である、上質のメロディセンスとエレクトリックなサウンドをバランス良く聴かせてくれる好仕上がりです。
また、本作はそのミニマル・ポップなアートワークにも注目です。ロンドンを拠点に活躍するフランス出身の女性グラフィック・アーティスト、Malika Favreが書き下ろしたジャケットのデザインは、 Manceau (マンソー)のサウンドにぴったりの程よく都会的で温かく、印象的なもの。紙製のジャケットでこそ得られる付加的な充足感は、デジタル配信では得られない魅力の一つです。さらに、『プロダクション・デシネ』からの国内盤CDには、5曲ものボーナス曲を収録していますが、そのいずれもが素晴らしいナンバー。印象的なサビと跳ねるベースラインのアンバランス感がクセになる「11. Mars is a Way Too Far」、疾走アコポップ「12. In Between」、キラキラしたシンセのフレーズも楽しい「13. Bright Side」、もしかするとそのメロディの良さでは全曲中最も輝いているかもしれない「14. Waiting For Nothing」、「15. Train」など、とてもオマケとは思えない名曲たちが収録されています。スゴい…。
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掲載: 2017年03月07日 18:01