エルメート・パスコアール (Hermeto Pascoal) グループ名義としては15年振りの新作『No Mundo Dos Sons』
2017年の年始に久々の来日を果たし日本のファンを歓喜させたブラジリアン・ジャズ・レジェンドのエルメート・パスコアール。ブラジルのミュージシャンはもちろん、世界中の音楽家から愛されるブラジル音楽史上もっとも重要な人物による待望の新作は、2017年の来日メンバー達で構成される自身のグループ名義でのリリースで、アルトゥール・ヴェロカイやジョアン・ドナートの新譜を矢継ぎ早にリリースするSESCレーベルからとなった。
ここ数年のリリースはアリーニ・モレーナとの共演や他ミュージシャン作品へのゲスト参加だったため、グループ名義としては実に15年ぶり。それだけをとってみてもセンセーショナルであるが、さらに注目すべきはその内容である。マイルス・デイヴィス、チック・コリア、サド・ジョーンズ、ロン・カーターといったジャズ・レジェンド、さらにはジョビン、エドゥ・ロボ、シヴーカ、アストル・ピアソラといった南米を代表するミュージシャンへのオマージュ、さらにはエルメート音楽の源泉となっているブラジル各地/各都市へのオマージュを捧げた楽曲はのべ全18曲。2枚組のCDにたっぷりと収録されたそれらは、すべてオリジナルである。メンバーも申し分ない。長年の活動を支えるブレーンでもあるベースのイチベレを筆頭に、ブライアン・ブレイドなどとも共演するアンドレ・マルケス、若手随一のリード奏者としてサンパウロで一番忙しいといわれるジョタ・ペ、さらにはファビオ・パスコアール&アジュリーナ・ズヴァルギなどなど長年活動を共にするグループによる途轍もないグルーヴは2017年の来日公演でも証明済み。一糸乱れぬ組織力と、はじけんばかりのパッション、めくるめく即興性が同居する演奏は、宇宙一といっていいだろう。
エルメートの長いキャリアを振り返ってみても、間違いなく代表作となるであろう本作。全音楽ファン、いや全人類が聴くべき真のマスターピースとなること必至!!
掲載: 2017年08月07日 10:27