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ソフトタッチ、ニュー・アルバム『リビルド』発売記念インタビュー<後編>

ソフトタッチ
写真左から 星野誠(Dr&Cho)、山田真一(Gt&Cho)、渡辺大介(Ba&Cho)、佐野史紀(Vo&Gt)

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)&井上陽介(Turntable Films/Subtle Control/Peg&Awl)をプロデューサーに迎え、“再構築”を掲げて完成させた、11年ぶりとなるアルバム『リビルド』をリリースしたソフトタッチ。

インタビュー<前編>では11年ぶりのアルバムに関係する「現在」の話を聞きました。<後編>では、UNDER FLOWER(※1)時代など「過去」の話と、アルバム発売後の「未来」について話していただきました!

text&photo:ササキ マサミツ

 

 

■佐野は〈モテなくてもやるんだ派〉

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──では、ソフトタッチがアルバム『リビルド』をリリースするまでについて聞いていきたいと思います。まず、どのよう経緯でUNDER FLOWERから作品をリリースすることになったのでしょうか。

佐野史紀(以下、佐野)「佐野が星野と宅録をずっとやっていたなかで、他のメンバーと出会い、2人で作っていたような音楽をバンドで表現するためにソフトタッチを結成しました。その流れで、外にアプローチしたいなと思いデモを作って。自分たちのサウンドにあうギター・ロック/ギター・ポップのレーベルの中で好きだったUNDER FLOWERに聞いてもらいたいと思いデモを送りました。」

──UNDER FLOWERでリリースしているバンドのことは意識をしていたのでしょうか。

佐野「UNDER FLOWERからリリースしているバンドのライヴを見に行ったりしてました。」

星野誠(以下、星野)「行ってたね。」

佐野「Shortcut miffy!(※2)やLOVE LOVE STRAW(※3)とか。ライヴを見に行ったときに小野さん(Shortcut Miffy!)に直接デモテープを渡したりしてました。」

渡辺大介(以下、渡辺)「小野さん、受け取るけど絶対聞いてなさそう(笑)。」

星野「確かPENPALS(※4)にもデモ渡してた。」

佐野「UNDER FLOWERの田中さん(※5)に郵送でカセットを送って。」

星野「当時はカセットテープを郵送で送ってたね。」

佐野「それから、田中さんにライヴに来てもらって。そこで〈良かったよ、今度UNDER FLOWERから出そうよ〉という話になって。ライヴをやった場所は新宿JAMですね。」

──何歳くらいの時でしょうか。

佐野「22歳から23歳位の時ですね。」

星野「ソフトタッチとしてのライヴは99年1月が最初かな?99年1月23日下北沢屋根裏が初ライヴ。」

佐野「初ライヴが1月だから、結成は98年なんですよね。」

渡辺「UNDER FLOWERのコンピに入ったのは『FLOWERS ARE GO ! Vol.3』が初めて。」

山田(以下、山田)「ファースト・アルバムの『Positive Thinking』より先にそのコンピが出たんだよね。次の年にアルバム。」

──コンピに収録されているバンドとの交流はどのような感じでしたか。

渡辺「まだアルバム出していなくて、レコーディングすらしていないようなときに。いきなりUNDER FLOWERナイト(※6)で福岡行くからって言われて(笑)。」

──『FLOWERS ARE GO ! Vol.3』の帯に告知がでていますが、福岡ビブレホールですね。

渡辺「僕らそれが初遠征で、いきなり福岡って言われて(笑)。すごくうれしかったんですけど。」

──そのライヴの打上げでソフトタッチのメンバーが、すみっこのほうで固まっていたのを覚えています。

佐野「ああ、餃子のお店(笑)。」

渡辺「どうしていいのか分からないというか。初めてだったので。」

星野「縮こまっていたね。Shortcut Miffy!のドラマー寺園さんが呼んでくれて。ちょっと話そうよと言ってくれて、びくびくしながらその席に行ったのを覚えてる(笑)。」

──福岡のあとは大阪に行って。

星野「大阪は江坂Boomin Hallか。ソフトタッチはBoomin Hallでだいぶライヴやってますね。大阪といえばBoomin Hall。」

渡辺「一番大阪でライヴをやった箱。」

──後藤さんが、レーベルのオフィシャル・サイトにアルバム完成にあたってのコメントを寄稿しているじゃないですか。当時のバンド界隈の話という事で、そこで触れられている「表へ出ろ事件」(※7)について聞かせてください。

一同「(笑)。」

渡辺「インストアでもいじられた!」

佐野「音楽をやるにあたって、〈モテたい〉〈モテなくていい〉という話が飲み会の席であり。千葉さん(※8)が〈モテたい派〉、佐野は〈モテなくてもやるんだ派〉、でゴッチがその中間という位置付けでした。でもその当時の現場の話の流れで、ゴッチが〈モテたい派〉になびいたときに佐野が絡んだという(笑)。」

渡辺「登場人物の中で一番悪いのが千葉君で、後ろの方で〈やれ、やれ、やれ!って〉。酷いたきつけ方をするんです、あいつは(笑)。」

──なるほど(笑)。

 

 

■00年代的なロックを、自分なりのロックを鳴らせるか?

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──日本語詞でのEPを2枚リリースし、残念ながらソフトタッチ解散という決断に至るわけですが。

渡辺「タッチが解散することが決まった後くらいに、たまたまゴッチとかと話すことがあって、その時に 〈実はソフトタッチ解散するんだよ〉って話をしたときに、結構ゴッチが怒って。」

佐野「そう、それはソフトタッチの解散ライヴの時。ゴッチが〈俺は怒っている〉って言っていた。同じ日、下北沢CLUB Queでアジカンがライヴをやっていて。アジカンのライヴ終了後ゴッチが、解散ライヴをやった下北沢Garageに来てくれて、その時〈俺は怒っている〉と。(※9)」

──はたから見て「これから」という状況にいたと思うのですが。

佐野「90年代的なロックから00年代的なロックへの過渡期だったり。後から考えるとなんですけど。自分たちはパラダイムがシフトするちょうどその狭間にいて、当時は全く気が付かなかったんですけど、今思い返すとそういうのがあって。00年代的なロックを、自分なりのロックを鳴らせるか?っていう疑念があったことが原因だと思っています。」

──00年代的ロックというのは例えばどのようなイメージでしょうか?

佐野「それはまさに自分たちの言葉でポジションを宣言できるようなアーティスト、オルタナティヴというんですかね。あのころってまだフラット化もしていないから。京都出身とか九州出身とか北海道出身とか、そういう地名がすごく(バンドを)特徴づけたりしていて。そういうアイデンティティというのを自分の中では、うまく見つけることが出来なかった気がしますね。」

 

 

■音楽の世界にソフトタッチという居場所が出来たらいいな、というのが漠然とした目標です

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──そういえば、コンピのVol.4『Flowers Are Go!』に収録されているバンドのなかでMica Flakes(※10)の黒米さんとは最近も飲んでいるとか。

佐野「遊んでもらってます(笑)。」

──同じコンピに入っている、Elevator Action(※11)のノリ君がやっているバー(※12)で黒米さんと飲んだそうですね。

佐野「そう、行った行った!」

──なんでこんな話をしているかというと、「繋がり」もアルバムの一つのキーワードかなと思って、意識的に昔の人と繋がりを作っていこうとしているのかなと。

佐野「なんか、(いろいろな人と)会いたいですね。」

──今回のアルバムをリリースするきっかけはFacebook、SNSじゃないですか(※インタビュー前編を参照)。かつては見えにくかった繋がりがSNSによって見えやすくなっていると思います。ソフトタッチがハブになって情報を繋げていることによって、かつて縁があったバンドの人たちの動きが可視化されている気がします。

佐野「自分の中でしばらく引っ込み思案な時期が続いていて…。それが近年〈飲みましょうよ〉みたいな感じになったのがでかいですね。実際会うと皆のパワーとか感じたりして、すごい嬉しいなって思えたりするのがいいんですよね。」

──一度再結成を挟んでそれぞれ音楽活動を続け、現在に至るわけですが。現在、積極的にライヴも行って、当時の人たちと繋がりが生まれてきてるじゃないですか。SNSがあったから関係性を再構築できている部分もあるのかなと。

佐野「そうですね。SNSの力というのは絶対あります。で、リアクションとかもそうですし、そこって、でもやっぱりSNSなんですよね。弱いつながりというか、そこがきっかけとなって実際に会えるっていうのはやっぱ感慨深いですよね。」

──今後の活動において目指すものはなんでしょうか。

佐野「目指したいものですか。リスナーと向かい合って何かを共有できたら、と思ってますね。」

──バンドを始めた20歳頃には、40歳になってこのようにバンド活動を続けていくことをイメージしていましたか。

佐野「生活があって、生活の中に仕事とか音楽とか、言い換えるとプライベートとパブリックがあって。そこのバランスを取りながら生きられたらっていうのが、テーマとしてあります。」

──こういう立ち位置で、バンドだったり音楽に向き合っているのは、ソフトタッチが初めてなのではないかという気もしていて。第二次バンドブーム前後で音楽を始めて、今も音楽活動を続けている人達の一つの在り方としてモデルになるのかなと。

佐野「まさか10何年前にこんな40代なんてものをイメージしてたかって言われると、そうじゃなかったりもするので。なんていうか、食えないから音楽を続けられないという発想とはまた別に、音楽っていうものを位置づけるという選択肢もある、そういう社会だと思ってます。」

──そうですよね。ソフトタッチは今後どのような存在になると思いますか。

佐野「音楽の世界にソフトタッチという居場所が出来たらいいな、というのが漠然とした目標です。その居場所にいろんな人が立ち寄って。そこで素晴らしい作品がまた生まれてくるというのもあるかもしれないし、そういうのがお仕事として回っていくかもしれないしとか、すごく可能性を秘めているのではないかと思ってますね。」

──いまは具体的な目標は決めず場を作っていくと。

佐野「それが目標ですね。」

 

 

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※1:UNDER FLOWER
社長田中謙次により東京にて設立されたインディーズ・レーベル。

※2:Shortcut miffy!
沼倉隆史(vo、g)、小野眞一(g)、黒丸良(b、vo)、寺園清一郎(ds)の4人が結成したギター・ポップ・バンド。
Tumblr
Twitter

※3:LOVE LOVE STRAW
US、UKインディーロック直系のギター・ロック・バンド。ソフトタッチ同様、UNDER FLOWER LABELに所属していた。
HP
Twitter

※4:PENPALS
上条欽也、上条盛也、林宗應からなるスリーピースバンド。代表曲はアニメ「ベルセルク」のオープニング“TELL ME WHY”など。

※5:UNDER FLOWERの田中さん
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのミニアルバム『崩壊アンプリファー』は2002年UNDER FLOWER LABELからリリースされた。ソフトタッチの諸作品もこのレーベルからリリースしている。そのレーベル主宰者が田中氏。UNDER FLOWERにはNONA REEVESやShortcut miffy!などが所属。

※6:UNDER FLOWERナイト
レーベルに所属するバンドが出演するイベント

※7:「表へ出ろ事件」
「モテたくて音楽をやっているところも少しはあるでしょう?」という質問に激怒した十数年前の佐野君を思い出した。「表に出ろ!」とキレられたのは他ならぬ、僕(注:後藤氏)だった。※客注:筆者
出典:only in dreams「【ソフトタッチ『リビルド』ライナーノーツ後藤正文】

※8:千葉さん
テルスター、ザ・ガールハントのギタリスト
テルスターTwitter

※9:俺は怒っている
「これからゼロ年代の音楽シーンをお互いにザヴァイブして行くんだと思っていた。」とあり、その時の気持ちを推し量ることが出来る。
出典:only in dreams「【ソフトタッチ『リビルド』ライナーノーツ後藤正文】

※10:Mica Flakesの黒米さん
UNDER FLOWER LABELから『HELLO !』などをリリース。黒米さんはそのベーシストで吉野桃子率いるSUNNYCHARのメンバーでもあった。現在はShortcut miffy!に参加。

※11:Elevator Action
UNDER FLOWER LABELから『FRANK POPPA !』などをリリースしたギター・ポップ・バンド。

※12:ノリ君がやっているバー
Elevator Actionのギタリストで現在池袋にてPUB「NONSUCH」で店長を勤める。
NONSUCH HP

 

 

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ソフトタッチ『リビルド』

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)&井上陽介(Turntable Films/Subtle Control/Peg&Awl)をプロデューサーに迎え、“再構築”を掲げて完成させた、11年振り3枚目となるニュー・アルバム 『リビルド』。過去を受け入れ、未来を見つめ、今、また多くの人々と交わり、夢や希望を鳴らし合う、傑作の誕生です。マスタリングは、全曲Stephen Marcussenが担当。

 

 

 

■LIVE INFO
[解放 #3] ~ソフトタッチ『リビルド』リリース記念ワンマンライブ~
11月30日(金)@下北沢Basement Bar Open19:30/Start 20:00
Opening act:桂田5
Adv¥2500/Day¥3000(+D)

[解放 #4] 
2019年1月12日(土) 大阪府 難波ベアーズ 
<出演者>
ソフトタッチ
Bacon/
and more

 

 

■PROFILE
佐野史紀(Vo&Gt)、山田真一(Gt&Cho)、渡辺大介(Ba&Cho)、星野誠(Dr&Cho)から成る4ピースバンド。

1998年秋昭和音大の仲間を中心に結成。略称「タッチ」

2000年冬1stアルバム『Positive Thinking』でデビュー。

2002年春1st EP『セイリョウカンベットタウン』発売。

同年秋2nd EP『エンドマークタワー ep』発売。

2003年春解散。

2007年春『セイリョウカンベットタウン』と『エンドマークタワー ep』を重ねた2in1アルバム『SOFTTOUCH』発売。

2016年夏活動再開。

2018年、後藤正文 (ASIAN KUNG-FU GENERATION) 主宰のレーベル ”only in dreams” より、後藤正文と井上陽介 (Turntable Films / Subtle Control / Peg&Awl)がプロデュースを手掛けた3rdアルバム『リビルド』を11年振りにリリース予定。

アルバム『リビルド』のリリースに先駆けて、6月1日(金)よりアルバム収録曲「Circle」を先行配信し、「Circle」のMVも同時公開。6月18日(月)、7月9日(月)には、「解放#0」、「解放#1」と名付けた自主企画を、2ヶ月連続で開催する。

タグ : インタヴュー

掲載: 2018年09月18日 18:00