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ウーマン・ジャケットのフュージョン&AORオシャレ専科

Ray Barretto

 


オシャレな雰囲気を出しているアートワークに欠かせない要素は“女性”。どんなジャンルにも、アルバムのメイン・アーティストが女性の場合はもちろん、そうでなくても“女性”がジャケットに登場しているというだけで、どこか華やいだ空気が漂う。フュージョン&AOR全盛期の70年代から80年代にかけての“ウーマン・ジャケット”名盤をご紹介します。

 

ウーマン・ジャケットおしゃれ専科

Ray Barretto/ キャン・ユー・フィール・イット

恍惚な表情に首ったけ

このジャケットの女性のうっとりした表情の理由は、”最高のサウンド“のせい。ファニア・オールスターズのメンバーとして活躍したブーガルー、サルサ界の名コンガ・プレイヤー、レイ・バレットが1978年にリリースしたフュージョン&ディスコ路線の傑作。ボズの“ロウダウン”ばりの洗練されたグルーヴ感が魅力のタイトル曲に始まり、スイート&メロウなR&Bテイストなど、女性コーラス、ストリングスをフィーチャーした70年代後半のメジャー・セヴンス・サウンド満載。

 

Al Di Meola / エレガント・ジプシー

エレガントなジプシー女性にひとめぼれ

エレガントなジプシー女性が舞う横で、アル・ディ・メオラがレス・ポールを抱えてスタンバイ。リターン・トゥ・フォーエヴァーを離れ、ソロ活動に転じたアル・ディ・メオラのセカンド・アルバム。フラメンコ・ギターの王者=パコ・デ・ルシアとの共演“地中海の舞踏”、ハード・ロックとスパニッシュ・サウンドを融合した“スペイン高速悪魔との死闘”(レース・ウィズ・デヴィル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ)等、ギタリスト・作曲家の両面で最初の頂点を確立したことを余すところなく伝える。

 

Boz Scaggs / ミドル・マン

美女の膝を独り占め

『シルク・ディグリーズ』、『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』、そして1980年の本作はAOR三部作と呼ばれ、ボズ・スキャッグスは一気に時の人に。デイヴィッド・フォスターのバックアップとTOTOのメンバーが豪華参加し、そのジャケット・デザインから、ボズがタバコをふかしながら美女の膝を枕に、極上のサウンドの上に寝そべったといえる本作は当時レコード・ショップ店頭にデカデカと置かれ、洋楽ファンにインパクトを与えた。シングル“ブレイクダウン・デッド・アヘッド”(全米15位)、“ジョジョ”(全米17位)の他、 “トワイライト・ハイウェイ“はCMオンエアされ、楽曲クオリティは最高。

 

Candy Dulfer / サックス・ア・ゴー・ゴー

ファンキー・サックス・クイーン

プリンスやメイシオ・パーカーを魅了した才能、オランダ発ファンキー・サックス・クイーン、キャンディ・ダルファーの名声を不動のものとした1993年作。ジャケも本人をスタイリッシュにアピールし、骨太なアルト・サックスの音色と、可憐なヴォーカル&ルックスのブレンドはジャズ~フュージョンの枠を超えて大きな話題を呼んだ。ダンサブルなタイトル曲は当時CMに使用され、その映像にはキャンディ本人も出演、彼女にとっての代表曲に。またアヴェレイジ・ホワイト・バンドの“ピック・アップ・ザ・ピーシズ”のカヴァーも大いに注目された。

 

Eric Gale / タッチ・オブ・シルク

隠れた美女の正体は?

赤いシルクに隠れた美女のジャケットが印象的な、スタッフのギタリストとして名を馳せていたエリック・ゲイルの1980年のソロ作。ニューオリンズR&Bの名匠アラン・トゥーサンが、プロデュースと大半の作曲を担当、タイトル曲に見られる爽快なフュージョン・サウンドから濃厚なファンク・チューン、そしてチャーリー・パーカーの名曲“オー・プリヴァーヴ”のカヴァーまで、エリックの歌心あふれるギター・ワークとの相性もバッチリ。

 

Herb Alpert & The Tijuana Brass / Whipped Cream & Other Delights

クリームになりたい。

ジャケットにはクリームまみれの美女がこちらをチラリ。トランぺッター、ハーブ・アルパートが自身のバンド、ザ・ティファナ・ブラスを率い1965年にA&Mレーベルよりリリースした傑作。ラジオ番組「オールナイトニッポン」のテーマ・ソングである “ビター・スウィート・サンバ”を収録していることでも有名な本作、この他軽快な“蜜の味”や“ラヴ・ポーション・ナンバー・9”のカヴァーもあり。発売50周年記念、2015年最新リマスター音源使用。

 

Marlena Shaw / フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?

マリーナ

ファンキーな出で立ちのマリーナ・ショウがジャケットに映った1975年リリースのソウルフルな人気作。デヴィッド・T.ウォーカー、ラリー・カールトン、ハーヴェイ・メイソンらトップ・ミュージシャンら顔ぶれも豪華。NYのストリートを彷彿とさせる“ストリート・ウォーキング・ウーマン”、そして必聴はロバータ・フラックのバージョンでも有名な“フィール・ライク・メイキング・ラヴ”。マリーナの名唱が70年代の時代の空気をも伝える。

 

Pat Metheny Group / Still Life (Talking)

異国情緒と共に

ブラジル風味濃厚な80年代メセニーの傑作で、どこかの部族の女性が映る異国情緒あふれるジャケット・デザインも秀逸。パット・メセニー・グループのゲフィン移籍第1弾アルバムで、第30回グラミー賞、ベスト・ジャズ・フュージョン・パフォーマンス受賞。3曲目“Last Train Home”は、パット・メセニー・グループの代表曲であり、後にTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』に使用されたことでも話題に。

 

Ramsey Lewis / 太陽の女神

黄金の女

007シリーズの『ゴールド・フィンガー』を想起させる、ゴールド一色の女性が見せる恍惚とした表情のジャケット。ジャズ界で多くのヒット曲を持つキーボード奏者ラムゼイ・ルイスと、モーリス・ホワイト率いるスーパー・グループ"アース、ウィンド&ファイアー"とのコラボレーション(1974年作品)。モーリスは1960年代後半、ラムゼイのバンド・メンバーだった。スキャットをフィーチャーしたタイトル曲はジャズとファンクが、メロウに融合した究極の名演。

 

Spyro Gyra / フリータイム

素敵な横顔

『モーニング・ダンス』の大ヒットで一躍トップ・フュージョン・バンドの仲間入りを果たしたスパイロ・ジャイラ、通算5枚目。ゲストにランディ・ブレッカー、スティーヴ・カーン、リチャード・ティーなどニューヨークを代表するセッション・ミュージシャンを迎え、陽光のように快いサウンドをたっぷり披露。ジェイ・ベッケンスタインのサックスとデイヴ・サミュエルズのマリンバが醸し出すハーモニーがこよなく美しい。ヘッドフォンをして寝ている女性の横顔をあしらった本作のジャケットはスパイロ・ジャイラの全アルバム中でもダントツのオシャレ・アートワーク。

 

Stuff / モア・スタッフ

NYオシャレ・ウーマン

赤いマニキュア、スタッフのファースト・アルバムのジャケット・デザインが施されたマッチ、そして細いシガー、そんなニューヨーク“オシャレ”ウーマンをあしらったジャケットが印象的な本作は、ヴァン・マッコイのプロデュースにより、スタッフ・サウンドが確立したグループとしては2作目のアルバム(1977年作品)。コーネル・デュプリー、エリック・ゲイルら6人の怒濤のグルーヴが圧巻な一枚。名曲“ジス・ワンズ・フォー・ユー”“サブウェイ”、スティーヴィー・ワンダーの“アズ”のカヴァーも収録。ニューヨークにて録音。

 

角松敏生 / シー・イズ・ア・レディ(インストゥルメンタル)

“海”(シー)が女性(レディ)

このジャケットはタイトルの通り、“海”(シー)が女性(レディ)ということですね。AOR系シンガー・ソングライターの角松敏生が’87年にリリースしたオール・インストゥルメンタル・アルバム。バックには村上ポンタ秀一、青木智仁、佐藤博、斉藤ノヴら、実力派ミュージシャンが参加。2曲目の“シー・ライン”は当時タバコのCMに使われ、新しいギター・フュージョンの名曲として認知された。鮮やかなサウンドを聴けば、一年中“夏”。

 

 

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AOR AGE Vol.12

ムック第12弾は生誕80年を迎えたニック・デカロのキャリアを徹底特集!! 巻頭特集は、傑作『イタリアン・グラフィティ』が日本で愛され続けてきた名アレンジャーにして名シンガー、ニック・デカロ。没後26年、生誕80年を迎えた彼のキャリアを、ベン・シドランなど関係者への新インタヴュー、デカロ自身の貴重な発掘インタヴュー、作品評で総括します。

 

 

まだまだありますオススメ盤

 ANYTIME FUSION 2

 AOR Crossing

タグ : AOR フュージョン

掲載: 2018年12月19日 13:19

更新: 2019年01月22日 13:00