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Julian Lage(ジュリアン・ラージ)、Dave King(デイヴ・キング)を迎えたニュー・アルバム『Love Hurts』

Julian Lage(ジュリアン・ラージ)アルバム『Love Hurts』

1987年生まれ、神童と騒がれてデビューし、現在31歳。アーティストとして目覚ましくスケール・アップを遂げるジュリアン・ラージ、待望の新作!!音楽的な幅広さ、テクニック、コンポジションやアレンジ、ソロとどれをとっても破格の大きさを見せ、今や、数十年に一度の才能とまで言わしめるジュリアンは、本年(2018年)12月に再来日。丸の内コットンクラブの4日全8公演のほぼすべてを満席にして、興奮のステージを見せてくれましたが、本作には、底知れぬ才能がまた記録されています。

Mack Avenueに移籍以来『アークライト』、『モダン・ロア』とギター・トリオとして本作は3作目。どちらの作品も、まぎれもなく、次なるステージへの大きな期待を抱かせてきましたが、表現者として一本の筋を貫き、アップデートをしながら、もっとも、スポンテニアスな表現がなされたという意味において、本作は最高に充実した作品であり、ある種の異質な凄みもましたようにみえます。

今回は、ジュリアン自身のセルフ・プロデュース。過去2作のプロデューサー、ジェシ-・ハリスを心からリスペクトし、“ジョン・ゾーン、ネルス・クラインといったアーティストがいたからこその今”と、時を重ねてきたさまざまなアーティストに常に感謝と敬意を表しながら、しかし、経験を得た今の自分をストレートに表現したといえるのが本作。加えて、今回はドラマーにデイヴ・キングを迎える新展開がカギ。デイヴ・キングといえばミネアポリス出身、言わずもがな、あの“バッド・プラス”のドラマーであるほか、Happy Appl eなどジャンルを越境し拡張するドラマー。2018年、このメンバーでライヴを重ねてきた結果、ジュリアンは思いがけずも、今までにない影響力と即興の面白さ、演奏の新展開を感じたとのこと。ベースもスコット・コリーからホルヘ・ローダーに変わり、ローダーとは共感というベクトルでバンド・サウンドをつくってきた一方、キングがもたらしたサウンドがバンドに大きな推進力をもたらしたとのことです。

演奏された楽曲も、ジュリアン・ラージのフェイヴァリットなものであることは変わりのないことですが、今回は、60-70年代という時代に発表された楽曲がコア。

オーネット・コールマンの名曲M2をはじめ、ジミー・ジェフリー、また、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットなどで演奏されたM3を斬新にアレンジした演奏も。一方、タイトル曲は、エヴァリー・ブラザーズによって初録音され、ナザレスのカバーによってヒットし、数々のアーティストによってカバーされてきた言わずとしれたナンバー。ラストには、ロイ・オーヴィソンのメローなナンバーでクローズするなど、今回もジャズという枠を超えた選曲ですが、演奏は、どれも楽曲が生み出された当時の自由で強いスピリッツと、深く共振している意味において、前2作との違いもあらわれてきます。

録音は、1日半で、テイクはほぼファースト・テイク。ジュリアン曰く、これまで以上に即興の重要性を感じたとのことですが、そのシチュエーションからもバンドのスムーズさと、よどみのない勢いがあふれる展開が感じられます。

幼少のころから父親の影響を受け、ロックやカントリーといった音楽に親しみ、20 世紀の音楽を吸収してきたジュリアン。歴史を呼吸しながら新しい地平を切り拓くアーティストの傑作であり、21世紀最高のギター・ミュージックです!

国内仕様:日本語帯、解説付

 

【収録曲】
1. In Heaven (4:35)
2. Tomorrow Is The Question (3:37)
3. The Windup (4:04)
4. Love Hurts (4:46) 5. In Circles (4:31)
6. Encore (A) (4:45)
7. Lullaby (3:46)
8. Trudgin’ (3:58)
9. I’m Getting Sentimental Over You (4:07)
10. Crying (5:34)

【メンバー】
Julian Lage(g), Dave King(ds), Jorge Roeder(b)

掲載: 2019年01月15日 10:27