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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.13

ジョー・パス『ヴァーチュオーゾ』(1973)

JP2

ジョー・パス(g)

1973年8月28日、ロサンジェルスにて録音

曲目:
1.ナイト・アンド・デイ
2.ステラ・バイ・スターライト
3.ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
4.マイ・オールド・フレイム
5.ハウ・ハイ・ザ・ムーン
6.チェロキー
7.スウィート・ロレイン
8.ジョーンズ嬢に会ったかい?
9.ラウンド・ミッドナイト
10.オール・ザ・シングス・ユー・アー
11.ブルース・フォー・アリカン
12.ソング・イズ・ユー

【アルバム紹介】
1. メロディ、コード、ベース、リズムをギター1本だけで演奏した神業アルバム
2. アコギのようなギターの音色も魅力
3. ソロ・ギターで演奏されたスタンダード名曲のオンパレード

歌詞もテーマ・メロディも登場しない、ジャズ史上異色のサラ・ヴォーンによる“枯葉”カヴァーの中でソロ、バッキングともに素晴らしいプレイを聴かせていたギタリストがこのジョー・パス。
正統派ジャズ・ギターを聴かせるプレイヤーとしては、ジム・ホールと並び、“神”と崇められる存在でした。
それを象徴するアルバムがこの『ヴァーチュオーゾ』です。

このアルバムの凄いところは、メロディ、バックのコード、ベースライン、そしてスイングするリズムのすべてをギター1本でやってのけているところです。もちろんオーヴァー・ダビング一切無し。「この人、4つ手があるんじゃない?」なんて言いたくもなるほどの超絶技巧の演奏が展開されています。

また、ジャズ・ギターと言えばフルアコースティック型のギターで演奏されることが多かったため、サウンドが甘くメロウになり、主にソロ演奏はバラード曲に限って演奏されるケースが多いと思われていたものを、ジョー・パスは本作でアコギのような音色で切れ味バツグンのフレージングを次から次へと繰り出し、アップテンポなナンバーを鮮やかに演奏して聴かせています。

ただ、ギター・プレイの非凡さだけをアピールしたアルバムは、数回聴くと飽きてきそうなもの。本作は取り上げている曲が有名スタンダード曲が多いため、聴けば聴くほど発見もあり、ピアノ、サックス、ヴォーカルとは違ったソロ・ギター演奏による楽曲の新しい魅力に出会えます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
“ナイト・アンド・デイ”か、“オール・ザ・シングス・ユー・アー”。

どちらも普通に演奏すれば普通に終えられる曲です。それを巧みなアレンジと構成力で聴かせており、ジョー・パスの楽曲解釈の高さを実感できます。
そして何よりもギターが弾ける人にとっては「一度は人前でこんな風に演奏できればいいなあ」的な、これらの曲のカッコいい演奏の代表といえます。
『ヴァーチュオーゾ』のヒットにより、ジョー・パスはソロ・ギター・アルバムの制作はライフ・ワークとなり、この後、『ヴァーチュオーゾNo.4』までリリースされている以外にも、チャーリー・パーカーやガーシュインのナンバーを集めたソロ作など数々あります(が、現状廃盤も多いのが残念)。
他のギタリストで全曲ソロの類似アルバムは実はあるようであまりなく、そんな中でこの『ヴァーチュオーゾ』テイストを持った90年代以降の1枚として下記アルバムがおススメです。
タック&パティのギタリスト、タック・アンドレスの「虹の彼方に」(1990)。
ハーモニクスを鳴らし、弦をはたき、パーカッシヴな奏法も盛りだくさん、それでいて、メロディ・ラインを主体としたフィンガー・ピッキングによる演奏はソロ・ギターとしてはかなり高度なもの。
アルバム中、スタンダード曲はもちろん、オリジナル曲も聴かせていますが、1曲目のマイケル・ジャクソンの“マン・イン・ザ・ミラー”のカヴァーは秀逸で、同曲のソロ・ギターでの大名演ですよ。

SHM-CD国内盤(一般普及盤)

 

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年02月08日 12:00