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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.14

クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ『スタディ・イン・ブラウン』(1955)

CB

クリフォード・ブラウン(tp)
ハロルド・ランド(ts)
リッチー・パウエル(p)
ジョージ・モロウ(b)
マックス・ローチ(ds)

1955年2月23~25日 ニューヨークにて録音

曲目:
1. チェロキー
2. ジャキー
3. スウィンギン
4. ランズ・エンド
5. ジョージズ・ジレンマ
6. サンデュ
7. ガーキン・フォー・パーキン
8. イフ・アイ・ラヴ・アゲイン
9. A列車で行こう

【アルバム紹介】
1.夭折の天才トランぺッターを知るジャズ史に残るハードバップ名盤
2.盟友ドラマーのマックス・ローチの熱いプレイも必聴
3.1956年6月26日夜の出来事

前回ご紹介いたしましたジョー・パスのソロ・ギター・アルバム『ヴァーチュオーゾ』は、“神ワザ”の領域ともいえる内容でしたが、その中で取り上げられていたスタンダード・ナンバー“チェロキー”。ジャズ史の中でその名演としても語りつがれているのが、天才トランぺッター、クリフォード・ブラウンの代表作である『スタディ・イン・ブラウン』の中での同曲の演奏です。

この曲の作曲は“ヴェリー・ソート・オブ・ユー”などで知られるコンポーザー、レイ・ノーブルによるもので、数多くのジャズ・プレイヤーに取り上げられている名曲ですが、本作のこの曲での快速なスイング・ビートに乗って、ムダ音が一音もない閃きのトランペット・ソロを展開するブラウニー(クリフォード・ブラウン)のプレイは圧巻です。
アルバムはスタンダード曲とブラウニーや他メンバーのオリジナルで構成されており、どの曲も聴きどころたっぷりのプレイが披露されており、ハードバップの神髄を堪能できる傑作の名に恥じない内容になっています。“チェロキー”のアッパーな演奏に始まり、ラストがデューク・エリントンの名曲“A列車で行こう”で終わるという、ストーリー性のある曲順もいいです。

またこの熱いセッションを大いに盛り上げているのがドラマーのマックス・ローチ。
アルバム・タイトルを見てのとおり、本作はブラウニーとの双頭クインテット名義であり、この2人の共演盤はハードバップ全盛期の傑作として名高いものが多いです。この前年の1954年から1955年の本作と重なるようにレコーディングされていたアルバム『クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ』はこのクインテットの初録音を記録した一作で、おススメの一枚です。

さて、本作は1955年の2月にレコーディングされておりますが、その翌年1956年6月26日、ブラウニーはピアノのリッチー・パウエルとその奥さんが運転する車で、次の出演先であるシカゴに向かっていました。ところが、夜に雨のハイウェイを走行中、車はコントロールを失い、路線をはみ出しクラッシュするという事態にみまわれました。
乗車していた3人は即死。
この大事故よりクリフォード・ブラウンは唐突にその生涯を閉じることになってしまったのです。まだ25歳の若さでした。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
“チェロキー”。

イントロはまるでネイティヴ・アメリカンの酋長のダンスのようなリズム・アレンジに聴こえるこの“チェロキー”。作曲はレイ・ノーブルになってはいますが、元はネイティヴ・アメリカンの民謡のメロディとも言われています。この曲でのクリフォード・ブラウンのプレイは早いパッセージでたたみかける電光石火のアプローチで、グイグイ曲を引っ張ってゆきます。しかし、単に技巧的に終わらず、どこか一定のメロディ・ラインをキープしているところが天才と言われる所以です。
クリフォード・ブラウンはプレイも天才的ですが、その短い生涯の中で、優れたオリジナル曲も残しています。本作では“スウィンギン”、“ジョージズ・ジレンマ”、“サンデュ”、“ガーキン・フォー・パーキン”の4曲がそうです。先述のアルバム『クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ』に収録のオリジナル曲はキャッチーなメロディを持った、殊に人気の高いナンバーで知られています。それが“ダーフード”、“ジョイ・スプリング”、“ブルース・ウォーク”の3曲です。機会がありましたら、ぜひご一聴ください。
また、クリフォード・ブラウンの早すぎた死に、テナー・サックス奏者のベニー・ゴルソンが哀悼の意をこめて作曲した“アイ・リメンバー・クリフォード”というジャズ史に残る名曲があり、それを時の天才トランぺッター、リー・モーガンが自身のアルバム『リー・モーガンVol. 3』の中で披露しており、同曲のジャズ史上屈指の名演となっております。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年02月15日 12:00