Fred Nardin(フレッド・ナルディン)ピアノ・トリオ作品『Look Ahead』
1987 年フランス、ブルゴーニュ出身の若きピアニスト、フレッド・ナーディンに よる才気あふれるピアノ・トリオ作品!2017 年に『Openi ng』をリリース。本作は同トリオでの2 年ぶりの新作。
トリオの最初のきっかけになったのは、2008 年、パリのクラブ、Sunset/Sunsi deでナーディンがレオン・パーカーに出会ったこと。その後、2016 年にNYで再会を果たしたナーディンに、レオンがイスラエル出身の注目のベーシストのオル・バレケットを紹介。2 人と共演したナーディンは、最初の一音を出した時から、特別なものを感じたとのこと。一方、ドラマーのレオンは当初、リハーサルや、コンサートの後に、様々なフィードバックをナーディンに伝え、その言葉は易しいではなかったものの、非常に前向きで発展的なものでもあったとのこと。そのレオンの後押しにも、創作意欲を駆られて行ったようです。
2017年に作品『( Openi ng』)を発表したのちには、2018年にかけてツアーも敢行。本作には、そうしたトリオの積み重ねによる発展が至るところに刻印されて、音楽がなされています。
ナーディンは、伝統と革新、コンテンポラリーなフィールが理想的にブレンドしたアーティス。
シンプルなドラムセットをして革新的なリズムでNY から世界中に向けてオリジナルなグルーヴを発信してきたレオン・パーカーとのトリオにより、オープニングは、コンテンポラリーでスタイリッシュな疾走感あふれるピアノを披露。しかし、2 曲目では、ミディアム・テンポで、スウィング感も抜群なリズムに、ブルージーなハーモニー・センスを感じさせるピアノを聴かせます。また、セロニアス・モンクあたりからの強い影響を見せ、その名も(Plelude to )Memory of T.と題するM7.8 は、ソロにトリオに、妙味あふれるパフォーマンスを聴かせてくれます。
実は、今や、当代のナンバー1ヴォーカリストとなったセシル・マクロリン・サルヴァントのバックもつとめて、『Woman Chil d』にはアレンジも提供しているナーディン。そのセシルのバンド・メンバーとしてフェスに出演して、交流をもったマルグリュー・ミラーも、ナーディンを絶賛していますが、トラディショナルなスタイルからブルース/ ソウルのフィールを体得して、新しいサウンドを開拓するスタイルは、マルグリューの系譜に連なるピアニストと位置付けられるでしょう。また、選曲や、メンバーとの共通性から、アーロン・ゴールドバーグあたりのピアニストともつながるセンスも感じさせます。ハービー・ハンコックの名曲M6に見せるモーダルなフレージングをアップテンポで弾き切るセンスは、まさに注目です。
近年ではまた、スタインウェイを有するプライベートのアパートメントで、アラン・ジャン・マリーを筆頭に、フランス縁の9 ピアニストの演奏を収録したボックスセット『At Barloyd's』(Jazz&People/JPBX 818000) でも顔をのぞかせた存在。現在32 歳。今後も楽しみです!
【収録曲】
1. Colours
2. Just Easy
3. Look Ahead
4. Three For You
5. New Direction
6. One Finger Snap
7. Prelude to <Memory Of T.>
8. Memory of T.
9. Prelude To <In The Skies>
10. In The Skies
11. Prayers
【メンバー】
Fred Nardin(p), Or Bareket(b), Leon Parker(ds)
パリのジャズシーンで活躍するベテランから若手まで9人のピアニストによるソロ(ゲスト入りテイクもあり)演奏をたっぷり収録した9枚組のボックスセットが登場!Alain Jean-Marieのようなベテラン、Franck AmsallemやManuel Rochemanなどピアノ・ファンにはおなじみの顔ぶれに、Pierre de BethmannやLaurent Coqなどの今をときめく中堅、そしてパリのジャズ・シーンのこれからを担うであろう1987年生まれの若手Fred Nardinなど、幅広い層のピアニストが参加。正統派人気ベーシストのClovis Nicolas や超絶ビバッパーのBaptiste Herbinをはじめ、ゲスト参加のテイクもあり、楽曲はオリジナルやスタンダード、インプロなど合計114トラックの盛り沢山な内容。1000部限定生産!仏ピアノ・ファンには堪らないコレクターズ・アイテムです。
タグ : ジャズ・ピアノ
掲載: 2019年05月23日 15:59