The Pixies(ザ・ピクシーズ)、約3年振り通算7作目のスタジオ・アルバム
1986年に米ボストンで結成されて以来、USグランジ/オルタナ・ムーブメントを牽引してきた彼ら。狂気を孕んだ歌詞と、ディストーションや轟音ギターを響かせながらも奇妙なまでにポップなサウンドで、多くの熱狂的ファンを獲得した彼らは、カート・コバーン(ニルヴァーナ)をはじめトム・ヨーク(レディオヘッド)、パールジャムなど様々なアーティストにも影響を与えていった。5作のアルバムをリリース後、バンドは1993年に一旦解散するが、2004年4月に再結成。2014年に23年ぶりとなったアルバムを完成させたが、オリジナル・メンバーのキム・ディール(ベース)がバンドから離脱。新メンバーとしてパズ・レンチャンティン(A Perfect Circle、Zwan等)がバンドにツアー・メンバーとして参加、2016年には正式メンバーとして迎えられた。
待望のニュー・アルバムとなる『BENEATH THE EYRIE(ビニース・ジ・エリー)』。プロデュースを手掛けるのは、ロイヤル・ブラッドなどとの仕事で知られるトム・ダルゲティ。ちなみに彼は前作『HEAD CARRIER』のプロデュースも手掛けている。昨年新作の為のソングライティングを行っていた彼らは、12月からニューヨーク州ウッドストック近郊にあるドリームランド・レコーディング・スタジオでレコーディングをスタートさせた。元々は1896年に教会として建てられたというこの建物の傍の木には鷹の巣(=エリー)があり、それがこのアルバムのタイトルの由来になったそう。
直感的で映像的、そして異世界的でもありながら、どこか懐かしく、またどこか不穏な空気を漂わせるピクシーズのサウンドは新作でも健在。『BENEATH THE EYRIE』には、魔女やダニエル・ブーン、はみだし者の物語が、彼らならではの不思議で不気味なサウンドスケープに違和感もなく溶け込んでいる。そのアルバムから先行トラックとしてリリースされているのは、2曲目の「On Graveyard Hill」。フランク・ブラックとパズ・レンチャンティンによるこの曲は、不穏に満ちたイントロからキャッチーな展開に至るまでピクシーズらしいナンバーに仕上がっている。
またバンドはアルバムの制作過程をドキュメントにし、12のエピソードにしたポッドキャストを配信することが予定されている。ポッドキャスト配信は6月27日よりスタートし、以降、9月のアルバムリリースまで定期的に毎週アップしていく予定だ。アルバムのレコーディング過程に密着したこのポッドキャストは、これまで彼らがほとんど見せることが無かったアルバムの制作過程に深く入り込んだ貴重なドキュメンタリーになっており、各曲がどのように進化、完成していくのかを知ることが出来る。
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