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Shahin Novrasli(シャヒン・ノヴラスリ)〈Jazz Village〉第2弾アルバム『From Baku To New York City』

Shahin Novrasli(シャヒン・ノヴラスリ)〈Jazz Village〉第2弾アルバム『From Baku To New York City』

アゼルバイジャン、バクー出身の鬼才ピアニスト、Shahin Novrasli。Jazz Village第2弾作品。

クラシック音楽の専門教育を受けたのち、アゼルヴァイジャンの民族音楽= ムガムとジャズの融合を成し遂げた音楽家ヴァギフ・ムスタファ・ザデの影響のもと、ジャズに目覚めたというシャヒン。2014 年には、アリ・ホーニグを迎えた作品をフランスのBee Jazzからリリースし、マルシアック・ジャズ・フェスティヴァルをはじめ、ヨーロッパ屈指のジャズ・フェスにも出演。着実な活動をみせています。

本作は約2 年ぶりとなる新作。以前の作品では、ヴァギフ・ムスタファ・ザデの影響が色濃く、ムガム・ジャズの流れを現代に継承する存在というイメージもありましたが、本作は、本人の世界観を反映したオリジナリティと、ルーツ的なものが自然に融合した印象があります。

意外にもオープニングはジョニ・ミッチェルの“Both Sides Now”( 邦題:青春の光と影) で、物憂い印象もある原曲の世界を、軽やかなタッチと端正なハーモニーで織りなして披露。また5 曲目では、マイケル・ジャクソンのバラード・ナンバー“She’s Out Of My Life”をセレクト。晩年のオスカー・ピーターソンをほうふつとさせるようなゴスペル的なアレンジ/ハーモニー・センスと共に、繊細なタッチで奏でる演奏には、今までのシャヒンの諸作にはない、美的センスが遺憾なく発揮されています。

しかし、鬼才ぶりも至るところで披露。“52ndStreet Theme”“Salt Peanuts”といったモンク、ディジー・ガレスピーの名曲に超絶のイントロを付け、意外性に富んだ演奏を見せるほか、チック・コリアからも影響を受けたことを証明するような高速のモーダル・フレーズを繰り出す演奏は、圧巻そのもの。8 曲目の“ステラ~”も含め、スタンダードのアレンジには鮮烈なものがあります。

一方、オリジナルも秀逸。“Shahin's Day”と本人の名前を冠した楽曲は、鋭いインタープレイの応酬が聴ける一曲。7 曲目の“memorie's”は、今までの中心路線であったムガムの哀愁のフレーズをクラシック的なタッチと即興を渾然一体と融合させた展開。この演奏には、お隣の国、アルメニアのティグラン・ハマシアンとも共鳴するものがあります。

2014年、あこがれのアーマッド・ジャマルと出会い決定的な影響を受けたというシャヒン。そのジャマルのリズム・セクションと共に、切り拓いた確固とした、新しい世界。注目の一作です。

 

【収録曲】
1. Both Sides Now
2. 52nd Street Theme
3. Night Song
4. Shahin’s Day
5. She’s Out Of My Life
6. Salt Peanuts
7. Memories
8. Stella By Starlight
9. Cry Of Gulchura

【メンバー】
Shahin Novrasli(p), James Cammack(b), Herlin Riley(ds)

掲載: 2019年07月31日 16:13