WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.45
ニーナ・シモン 『リトル・ガール・ブルー』(1958)
ニーナ・シモン(vo,p)
ジミー・ボンド(b)
アル・ヒース(ds)
1957年ニューヨークにて録音
曲目:
01.ムード・インディゴ
02.ベッドで煙草はよくないわ
03.ヒー・ニーズ・ミー
04.リトル・ガール・ブルー
05.ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
06.マイ・ベイビー・ジャスト・ケアーズ・フォー・ミー
07.グッド・ベイト
08.金の指輪
09.ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン
10.アイ・ラヴ・ユー・ポーギー
11.セントラル・パーク・ブルース
【アルバム紹介】
1.異彩を放つジャズ・ヴォーカリスト、ニーナ・シモンのデビュー作
2.全編、ピアノ弾き語り中心
3.名唱“アイ・ラヴ・ユー・ポーギー”
ケニー・バレルの『ミッドナイト・ブルー』に続き、アルバム・タイトルに“ブルー”がついた、こんなジャズ・ヴォーカルの傑作を今回は紹介します。
それがニーナ・シモンのデビュー作『リトル・ガール・ブルー』です。
ニーナ・シモンはよくある女性ジャズ・シンガーとは違った雰囲気があり、ジャズというよりR&B、ブルース、ゴスペルといった黒人音楽の要素を消化した音楽性が特徴で、その存在はカリスマティックであり、異彩を放つものでした。
本作は彼女のファースト・レコーディング作であり、自身のピアノによる弾き語りで、バックにベースとドラムスがサポートした編成でじっくり聴かせる一枚です。
取り上げている曲はデューク・エリントン、リチャード・ロジャース、ガーシュウィン等のスタンダード・ナンバーが中心になっており、シンプルな編成だけに、そのソウルフルな歌声を存分に堪能できます。中でもガーシュウィン作曲の歌劇『ポーギーとべス』の中の名曲“アイ・ラヴ・ユー・ポーギー”はジャズ史に残る同曲の名唱として名高いものです。
ジャケットのアートワークはセントラルパーク内のベンチにたたずむニーナ自身ですが、50年代の空気感とこちらに投げかける視線の“ブルー”なムードが絶品で、思わずLPで手にしたくなる、そんなアルバムです。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
黄昏の公園のベンチで聴きたい “アイ・ラヴ・ユー・ポーギー”。
先述の通り、この“アイ・ラヴ・ユー・ポーギー”はニーナ・シモンの代表的歌唱であり、レコーディング当時、ビルボードのトップ20に入り大ヒットを記録した1曲でもあります。
フランス印象派のピアノ曲のような響きがする分散和音のシンプルなイントロで始まり、やがてニーナ・シモンの、温もりのある歌声で、美しい名旋律が歌われてゆきます。しっとりと、味わい深く。一日の終わりに、黄昏の公園のベンチで聴きたい演奏です。
このアルバムはもう1曲、その後リヴァイバル・ヒットによってニーナ・シモンの代表曲となったナンバーがあります。それが“マイ・ベイビー・ジャスト・ケアーズ・フォー・ミー”。1987年にシャネルのCMでオンエアされ、UKではシングル・チャートの4位まで上昇しました。リリカルな“アイ・ラヴ・ユー・ポーギー”とは趣向の違う、ハッピーなスイング・ビートが愛くるしい、そんな1曲です。
UHQCD国内盤
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2019年09月27日 10:00