Deep Purple(ディープ・パープル)、2001年のニューキャッスル公演を収めたライヴ・アルバム
1972年の初来日公演の様子を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』(1972年)が世界的にヒットして以来、ライヴ・バンドとして圧倒的な人気を誇るディープ・パープル。スタジオ・アルバムでは聴けないインプロヴィゼーションを織り交ぜたスリリングな演奏はスティーヴ・モーズ(ギター)を迎えた体制でも健在で、リッチー・ブラックモア時代とはひと味違う繊細で高尚な演奏はこれまで数多くのライヴに収録されている。
スティーヴ・モーズ(ギター)を迎え、イアン・ギラン(ヴォーカル)、ロジャー・グローヴァー(ベース)、ジョン・ロード(キーボード)、イアン・ペイス(ドラム)というメンバーによる新生ディープ・パープルをスタートさせたのは1994年10月のこと。1996年2月にリリースした『紫の証(PURPENDICULAR)』では、フュージョン的な要素も取り入れた繊細でメロディックなスタイルを打ち出したバンドはその後、大規模なワールド・ツアーを実施。その中から1996年6月のフランスのパリ公演の様子をライヴ・アルバム『紫神転生~ライヴ・アット・ジ・オリンピア’96』(1996年)としてリリースすると、1998年6月にはスタジオ・アルバム『アバンダン』を発表する。キャッチーな要素も取り入れつつ、楽曲に深みを増したこの作品を引っ提げて行なったツアーの中から1999年4月のオーストラリアのメルボルン公演の様子を収めた『トータル・アバンダン』(2000年)をリリース。さらに、バンドは2000年に入ってからもワールド・ツアーを続行。その中から2001年3月14日にオーストラリアのニューキャッスルで行なわれたライヴを収録したのが本作である。
「ウーマン・フロム・トーキョー」でスタートするこの作品は、臨場感のある生々しいサウンドによるハイ・テンションなパフォーマンスが収録されており、グルーヴィーな演奏がカッコいい「ヴァヴーム:テッド・ザ・メカニック」、ジョンのキーボード・ソロから始まる「パーフェクト・ストレンジャーズ」、スティーヴのメロウなギター・ソロからスタートする「ブラインド・マン」など、個々の演奏力も聴き応え十分。さらにレッド・ツェッペリン、AC/DCといったアーティストの楽曲の一部をメドレー形式でプレイして始まる「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、オーストラリアで活動しているスコットランド人シンガーのジミー・バーンズをゲストで迎えてイージービーズのカヴァー「グッド・タイムズ」を途中でプレイした「スピード・キング」など、ライヴならではアレンジも楽しめる。 活きのいい歌唱を披露するイアン・ギランの存在感は抜群で、スティーヴのギター・ソロやジョンのキーボード・ソロなど、インストゥルメンタル・パートでのエキサイティングな演奏も実にスリリング。80年代以降の曲は『紫の証(PURPENDICULAR)』(1996年)からの3曲と、再結成アルバム『パーフェクト・ストレンジャーズ』(1984年)のタイトルのみで、その他は60~70年代からの曲となっているが、どの曲も第9期ならではのハイ・クオリティな演奏が聴きどころとなっており、まさに彼らの魅力を堪能できる作品が登場したと言える。