〈World Wide Tower〉高松丸亀町店 中南米音楽:GROOVE~グルーヴ~
Elis Regina『エリス・レジーナ・イン・ロンドン』
90年代以降のクラブシーンにおけるブラジル音楽ブームは間違いなくこの作品が寄与したところが大きい。MPBの女王、エリス・レジーナ24歳の時の作品。デビュー作からして堂々としたパワフルな歌い方だが、それはここでも健在。バックを支えるソフトなオーケストラとアントニオ・アドルフォの鋭いピアノ、ウィルソン・ダス・ネヴィスによる情熱溢れるパーカッション。パッションとパーカッションはだいたい同じという事でよろしいでしょうか。よく晴れた日曜日に聴きたいカラッとした一枚。(1969年)
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Marcos Valle『プレヴィザォン・ド・テンポ<期間限定盤>』
耳元で甘く囁くような柔らかなボサノヴァ、狂ったアレンジのソフトロック、オシャレなエレピが効いたフュージョン。マルコス・ヴァーリという男は時代と共に進化する、いや、時代が彼を追いかけるのか。マルコス名義の通算10枚目となる本作は1曲目から泣きのクイーカが胸を締め付け完全ノックアウト。DJたちがこぞってプレイした「Mentira」やデオダート、ジョアン・ドナートとの共作「Nao Tem Nada Nao」、タンバ・トリオのベベートへのオマージュのようなラストまで、最初から最後までどれもこれもとにかくイイ。かっこいいぞマルコス。最高だマルコス。(1973年)
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Tamba Trio『タンバ・トリオ<期間生産限定スペシャルプライス盤>』
サンバ・ジャズと言えばこのグループ。彼らの作品はどれもこれもオシャレ。ブルー・タンバとも呼ばれるこのアルバムはサンバ、MPB、ジャズなどの要素が詰まっていて軽快でグルーヴィ、そしてエレガントな1枚。トニーニョ・オルタやイヴァン・リンスなど楽曲提供者がゲスト参加していてそれぞれの個性も楽しめる。個人的にはM-2「ジャガの鳥かご」がイチオシ。この曲いいなと思ったら、サンバの巨匠マルチーニョ・ダ・ヴィラの歌う同曲がフワフワヌルヌルヌメヌメしていて気持ち良さと気持ち悪さマックスのキラーチューンなのでこちらも探してみてください。(1975年)
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Cartola『愛するマンゲイラ<期間生産限定スペシャルプライス盤>』
リオを代表するサンバ・チーム「マンゲイラ」の創立者の一人である伝説のサンビスタ、カルトーラが残した古き良き1枚。しっとりとしたホーン、五臓六腑に沁みわたるパーカッション、滋味深い歌声、私たちの心の奥深く広がるサンバのグルーヴ。「明るくて派手なダンスミュージック」という一般的なサンバのイメージを覆すであろう、温かくて穏やかな名作です。どうしてサンバがこんなにもブラジル人の日常に根付いて愛されているか、少し分かる気がする。時代が変わろうとカルトーラの作品の価値は永遠に変わらない。(1977年)
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Lourenco Rebetez『オ・コルポ・ヂ・デントロ』
アメリカ、バークリー音楽院でジャズを学んだ若き天才ギタリスト、ロウレンソ・ヘベッチス。シンプルでダイナミックなアフロ・ブラジルのビート、クラシック的な流麗なホーン・アンサンブル、バイーヤの伝統的なリズム、研ぎ澄まされたギター・ソロ。現代ジャズとブラジル音楽、ネオソウル、ヒップホップといった要素が組み合わさったとても刺激的で独創的な一枚。ロウレンソが自身の影響源として挙げるカルリーニョス・ブラウン率いるチンバラータやカエターノ・ヴェローゾ「Livro」も要チェック。(2016年)
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高松丸亀町店ワールドコーナー紹介
日本のミナス、高松。愛情をこめて選んだ良作が所狭しと並んでいます。四国や岡山のライブ情報も掲示。あそこに行けば何かがある、そんな売場を目指しています。
担当者/作品レビュー執筆者紹介
高松丸亀町店 バイヤー: 岡本 美帆
2012年、タワーレコード高松丸亀町店のオープニングスタッフとして入社。10代のころ、ナラ・レオンに出会い私の全てが狂い始めました。20代のころ、夢はただ二つ。ブラジル人になること。マルコス・ヴァーリと結婚すること。世界を知りたくてアフリカ・ニジェールで暮らすこと2年。今はここ高松で、良い音楽を少しでも多くの方に聴いてもらいたいと奮闘中。
サンバ、ボサノヴァ、タンゴ。だけじゃない南米音楽。ジャンルや国境を越え、あらゆる美しいものが融合した良作がたくさんあります。幸せを感じたときはその気持ちを膨らませ、苦しい時はその気持ちを柔らかく包み込んでくれる、私たちの日常に寄り添い人生に少しの彩りを添える良質な音楽。ずっとそばに置いておきたい、そんな作品にきっと出合えます。
掲載: 2019年11月18日 12:21