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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.61

マッコイ・タイナー『バラードとブルースの夜』(1963)

MT

マッコイ・タイナー(p)
スティーヴ・デイヴィス(b)
レックス・ハンフリーズ(ds)

1963年3月4日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.サテン・ドール
02.ウィル・ビー・トゥゲザー・アゲイン
03.ラウンド・ミッドナイト
04.フォー・ヘヴンズ・セイク
05.スター・アイズ
06.ブルー・モンク
07.グルーヴ・ワルツ
08.酒とバラの日々

【アルバム紹介】
1.名ピアニスト、マッコイ・タイナーのインパルス・レーベルでの3作目
2.ピアノ・トリオ編成で聴かせる、バラードとブルースのスタンダード・アルバム
3.コルトレーン・カルテットでのプレイとは違い、スインギーでリラックスした演奏

アート・ファーマー&ベニー・ゴルソンの双頭コンボ“ザ・ジャズテット”を前回紹介しましたが、そこへの参加が自身のキャリアのスタートになったのが名ピアニストのマッコイ・タイナーです。

“ザ・ジャズテット”の後、1960年にジョン・コルトレーン・カルテットに加わり、それにより急速に知名度を上げたマッコイ・タイナーですが、本作はコルトレーン・カルテット在籍中にリリースしたソロ・リーダー作で、インパルス・レーベルでの3作目にあたります。

その内容はピアノ・トリオ編成の、センス抜群のアプローチで聴かせる、バラードとブルースを集めたスタンダード・アルバムであり、コルトレーンのカルテットのところで聴かせる鬼気迫るプレイとは違い、スインギーでリラックスした演奏を披露していることで知られる傑作です。

デューク・エリントン作曲の“サテン・ドール”に始まり、ヘンリー・マンシーニ作曲の“酒とバラの日々”で終わり、途中にはセロニアス・モンクの“ラウンド・ミッドナイト”、“ブルー・モンク”も取り上げています。1曲だけ入っている自身のオリジナル・ブルース“グルーヴ・ワルツ”ではややアグレッシヴなプレイも織り交ぜてその独自のピアノの魅力を最大限に発揮しています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
当時はまだ新曲、“酒とバラの日々”。

このマッコイ・タイナーのアルバムは1963年の録音です。
映画『酒とバラの日々』が公開されたのは1962年。つまりその主題歌であるこの曲はこの当時、発表されて1年ほど経っただけの“新曲”だったわけです。今でこそスタンダード曲として、いろいろなアーティストによる演奏がありますが、そのもっとも最初期のジャズ・カヴァーがこの演奏ということになります。
イントロもなく、ゆっくりとしたバラード演奏で、リリカルなピアノ・スタイルでテーマを提示します。ソロに入ると、最初ミッド・テンポにアップし、スインギーなソロを展開しますが、再び、バラードに戻り、美しいフレージングとハーモニーでテーマを奏で、締めくくります。
モーダルなハーモニーとダイナミックなフレージングで圧倒するマッコイ・タイナーとは一味違う、オーソドックスなスタンダード名演が光る逸品です。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年01月24日 11:00