WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.63
ロイ・ヘインズ『ウィ・スリー』(1959)
ロイ・ヘインズ(ds)
フィニアス・ニューボーンJr.(p)
ポール・チェンバース(b)
1958年11月14日 ニュージャージーにて録音
曲目:
01.リフレクション
02.シュガー・レイ
03.ソリテア
04.アフター・アワーズ
05.スニーキン・アラウンド
06.アワ・デライト
【アルバム紹介】
1.95歳の現役ジャズ・ドラマー、ロイ・ヘインズの初リーダー作
2.メンバーは名手ぞろいのピアノ・トリオ編成
3.偏りのない、スイング・ナンバーやバラード楽曲収録の渋いジャズ・アルバム
前回ご紹介のオリヴァー・ネルソンの代表作『ブルースの真実』に参加していたドラマーが今回の主役ロイ・ヘインズです。
2020年3月で95歳、今なお現役でドラムを叩いているというリヴィング・レジェンド的な存在の1人です。
過去の共演歴はチャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、チック・コリア、パット・メセニー、ミシェル・ぺトルチアーニ等、おそらくこれほど幅広いジャズ・ミュージシャンたちとライヴ、レコーディングを共にしたドラマーは他にいないでしょう。
本作はその記念すべき初リーダー作になります。
参加メンバーはピアノに名手フィニアス・ニューボーンJr.、ベースにポール・チェンバース(『ブルースの真実』にも参加)を従え、ピアノ・トリオ編成の魅力を十分に伝える内容になっております。 収録曲は全6曲。まず1曲目は、ピアニストのレイ・ブライアント作曲のナンバーで、ヘインズの短いドラム・ソロで曲は勢いよく幕を開けます。そして次は本作のピアニスト、フィニアス・ニューボーンJr.によるオリジナル“シュガー・レイ”、そして、フィニアスのピアノが大フィーチャーされるスタンダード“ソリテア”と続いてゆきます。この他の楽曲でもう1曲レイ・ブライアント作曲のナンバー“スニーキン・アラウンド”が収録されていますが、こちらもヘインズのドラムスの一打から始まり、曲中のドラム・ソロも聴きどころです。
ドラマーがリーダーのアルバムだと、快速なテンポのものばかりを取り上げられたり、といった話も時々聞きますが、本作は偏りのない、スイング・ナンバーやバラードを集められた渋いジャズ・アルバムになっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
インパクトは第1曲目から。 “リフレクション”。
実はどの曲も捨てがたいほど良さが出ている演奏になっていて、1曲選ぶのは非常にもったいないです。
11分以上に及ぶ熱演が光る“アフター・アワーズ”での超ブルージーなセッションもぜひ聴いていただきたいですが、アルバムのインパクトを決定づける1曲目を選びました。
ロイ・ヘインズのタムによるドラム・ソロの導入に続いて、フィニアスのピアノとチェンバースのベースが入ってきて、独特のアクセントのシンバル・ワークによるリズムの上で、どこか哀愁を漂わせるメロディが現れ、いぶし銀のようなプレイに思わず引き込まれてゆきます。テーマが提示されたあとはオン・ビートの上をピアノ・ソロが表情豊かにスイングしてみせ、そのあと、ヘインズのドラム・ソロが短く展開され、再びテーマに戻ります。
まさに玄人芸ともいえる達者なプレイに心酔する隠れ名盤的な一枚といえます。
SHM-CD国内盤(一般普及盤)
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年02月07日 12:00