DMA's(ディーエムエーズ)|往年のブリット・ポップの魂を21世紀に蘇らせたオーストラリアのスリーピース・バンド最新作
往年のブリット・ポップの魂を21世紀に蘇らせたオーストラリアのスリーピース・バンド、DMA’S。2015年11月に日本独自のEPをリリースし、その直後初来日公演を実現、さらに2016年のフジロックにも出演するなど、ここ日本でも早くから注目を集めていた。その彼らが2018年の『FOR NOW』から通算3作目となるスタジオ・アルバムを完成させた!
待望のサード・アルバム『THE GLOW』。プロデュースとミックス・ダウンを手掛けたのは、ザ・キラーズやニューオーダーなどとの仕事で知られる、スチュワート・プライス。ロンドンのRAKスタジオ、ウエスト・ハリウッドのウエストレイク・スタジオでレコーディングされた。かつてオアシスの後継者とも評されたメロディアスでエモーショナルなポップ・ロック・サウンドは今作にも受け継がれている。アルバムの幕開けを飾る「Never Before」は”スクリーマデリカ“の頃を彷彿させるようなアティテュード、ダイナミックなビート、オルタナ・ポップの要素が一つに融合したロック・ナンバー。続くアルバムのタイトル・トラックでは、高揚感とエネルギッシュなメロディーが迸り、ヴォーカルのトミー・オーデルの声にも新たな自信が宿っている。またこれまでの抑制されたヴァースからパンチのきいたグルーヴへとなだれ込む「Criminals」や、ウォール・オブ・ギターにトランス風のビート、ハーモニーとヴォコーダーが混沌としたサウンドの坩堝を作り上げる「Cobracaine」のように、彼ら持つサウンドの新たな広がりを感じさせる曲もある。本作『THE GLOW』はこれまでの彼らのアルバムの中で最も完成度の高い作品になったと言えるであろう。
アルバムからのリード・シングルとして昨年末にリリースされたのが「Silver」である。リリースされるや否や、ファンからもUKのラジオを中心としたメディアからも大きな反響を得たこの曲は、ストリーミング再生回数も、彼らのこれまでのシングルの中で最も勢いがある楽曲だ。続けてリリースされた「Life Is A Game Of Changing」は、メロディックなギターと鼓舞するドラムスにエレクトロな要素が加わったサウンドにメランコリックなヴォーカルが加わったアンセムとなっている。
昨年秋にリアム・ギャラガーのUKツアーのオープニング・アクトを務めた彼らは、ニュー・アルバムをひっさげ、この春から夏にかけてUKをツアーする予定。3月に行われるロンドンはブリクストン・アカデミーの公演は早くもソールド・アウトとなっている。ブリット・ポップの魂を受け継ぐ、オーストラリアの3人組、DMA’S。彼らの確かな成長を感じさせる1枚、それが本作『THE GLOW』なのだ。
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掲載: 2020年03月09日 13:18