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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.72

ハンプトン・ホーズ『ザ・トリオ Vol. 1』(1955)

HH

ハンプトン・ホーズ(p)
レッド・ミッチェル(b)
チャック・トンプソン(ds)

1955年6月28日、ロサンゼルスにて録音

曲目:
01.アイ・ガット・リズム
02.恋とは何でしょう
03.ブルース・ザ・モスト
04.ソー・イン・ラヴ
05.フィーリン・ファイン
06.ハンプス・ブルース
07.イージー・リヴィング
08.オール・ザ・シングス・ユー・アー
09.ジーズ・フーリッシュ・シングス
10.キャリオカ

【アルバム紹介】
1.LA生まれのピアニスト、ハンプトン・ホーズの代表作
2.バド・パウエルの影響を感じさせるビバップ・スタイルのピアノ
3.力強い、抜群のスイング感の中にウェスト・コースト・ジャズ特有の軽やかさ

ウェスト・コースト・ジャズ名盤の紹介が連続で続いておりますが、今回でいったん一区切りいたします。
1928年にロサンゼルスに生まれ、1977年に同地で没した、アメリカ西海岸のジャズ・シーンで名を馳せた名ピアニスト、ハンプトン・ホーズの代表作をご紹介します。

本作は、この連載のVol.70で取り上げましたシェリー・マンの『マイ・フェア・レディ』と同じ、アメリカ西海岸の名レーベル、コンテンポラリー・レコードでのホーズのリーダー作で、べースのレッド・ミッチェル、ドラムスのチャック・トンプソンとのトリオで聴かせる逸品です。
収録曲の全10曲中、7曲がスタンダード曲で、3曲目の“ブルース・ザ・モスト”、5曲目“フィーリン・ファイン”、6曲目“ハンプス・ブルース”が自身のオリジナル、という構成です。
終始、力強い、抜群のスイング感の中にウェスト・コースト・ジャズ特有の軽やかさも見いだせる見事な演奏が聴けます。
なお、この『ザ・トリオ』のタイトルのアルバムはVol.3までリリースされています(現在は廃盤)。

良く知られた話ですが、ハンプトン・ホーズは戦後、アメリカの陸軍の仕事で1952年から1954年(昭和27年から29年)の間、日本に駐留していた時期があり、日本のジャズ史の中で伝説となっている横浜のジャズ・クラブ“モカンボ”でのセッションに参加しています。その際、ハンプトン・ホーズはその名前から“馬さん”の愛称で呼ばれました。
このセッションは守安祥太郎、秋吉敏子、渡辺貞夫、宮沢昭ら、日本のジャズ・シーンの実力派が顔をそろえていたことでも有名で、その模様はレコーディングされており『幻の“モカンボ”・セッション’54』としてリリースされました(現在は廃盤)。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ガーシュウィンの名曲 “アイ・ガット・リズム”の名演。

アルバムの1曲目というのはジャンル問わず大事です。その作品をリスナーに印象づけるという、重要な役割を担っているからです。本作はまさにその好例のひとつで、ガーシュウィンの名曲“アイ・ガット・リズム”の名演で始まります。
イントロもなくいきなり有名なテーマ・メロディがハンプトン・ホーズのピアノで提示され、ソロに突入してゆきます。
躍動感あふれるビートの上を、リズム的に自在に動き回りつつ、パワフルでいて、流れるようにスムーズなフレーズで魅了してゆきます。途中、レッド・ミッチェルのウォーキング・ベースを立てるようにバッキングに回りますが、そのあと、畳みかけるようなフレーズを次々を繰り出して盛り上げます。
そのままテーマに戻り、最後に無伴奏になったところで、急な坂を勢いよく下るようなフレージングでエンド、となります。
あっという間の3分20秒ほどの快演ゆえ、聴き終わった後は爽快な気分ですが、次の名曲“恋とは何でしょう”のイントロで少しクールダウンしつつ、楽しんで聴いてみてください。

SHM-CD国内盤(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年04月10日 10:00