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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.78

アニタ・オデイ『アニタ・シングス・ザ・モスト』(1957)

AO

アニタ・オデイ(vo)
オスカー・ピーターソン(p)
ハーブ・エリス(g)
レイ・ブラウン(b)
ミルト・ホランド or ジョン・プール(ds)

1957年1月31日 ロサンジェルスにて録音

曲目:
01.ス・ワンダフル~誰も奪えぬこの思い~
02.テンダリー
03.オールド・デヴィル・ムーン
04.ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
05.また会う日まで
06.星影のステラ
07.恋のチャンス
08.ゼム・ゼア・アイズ
09.思いのまま
10.私に頼むわ
11.魅惑されて

【アルバム紹介】
1.シカゴで育った女性ジャズ・シンガー、アニタ・オデイの人気盤
2.パーカッシヴな独自の唱法で魅了するハスキー・ヴォイス
3.オスカー・ピーターソンらのコンボ編成のバックで聴かせるスタンダード集

シカゴは多くのジャズ・ミュージシャンを輩出してきた都市です。前回のラムゼイ・ルイスはこの地の出身で、続いて紹介するアニタ・オデイはミズーリ州のカンザスシティに生まれ、シカゴで育ったジャズ・シンガーです。

子供時代にうけた喉の手術が原因で、ビブラートやロングトーンが困難になったものの、その逆境の中で、短い音で表現するパーカッシヴな独自の唱法を身につけ、それが彼女のスタイルとなりました。声はライトなハスキー・ヴォイスが特徴です。

本作は、彼女が1950年代後半から1960年代半ばまでに名門ヴァ―ヴ・レーベルに残した傑作の中のひとつで、バックにはピアノのオスカー・ピーターソン、ギターのハーブ・エリス、ベースのレイ・ブラウン、ドラムスにはミルト・ホランド、もしくはジョン・プールという、ベーシックな、それでいて豪華なメンバーのコンボがサポートします。

楽曲は1曲目、ガーシュウィン・メドレーで始まり、スインギーなスタンダード・ナンバーからスロウなバラードまで自在、女性ジャズ・ヴォーカルの貫禄を感じさせる歌唱で魅了します。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
スキャット・シンギングを聴かせる“ゼム・ゼア・アイズ”。

1曲1曲、そのスタンダード曲でのベストなアニタの歌唱が聴けますが、ひとつ選ぶなら、スキャットを聴かせるこのアッパーなスイング・ナンバーを。
曲は1930年代に書かれた楽曲で、スタンダード曲としてそれほど有名な曲ではありませんが、ルイ・アームストロングなど、数々のジャズ・ミュージシャンが取り上げています。
オスカー・ピーターソンの短いイントロが終わると、まるで早口言葉のようなアニタの歌唱が始まり、スキャット・シンギングに突入し、ピーターソンのピアノ・ソロへと移り、続いてハーブ・エリスが早いパッセージやベンディングのプレイでギター・ソロを展開。そして再びアニタのヴォーカルが戻ってくると、ドラムスとの掛け合いがあり、エンディングに向かいます。
アニタのヴォーカルが持つ、どこか落ち着いていながらも内に秘められたパッションに終始、心酔しながら聴ける一枚です。

SHM-CD国内盤(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年05月22日 10:00