WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.85
ハンク・モブレー『ディッピン』(1966)
リー・モーガン(tp)
ハンク・モブレー(ts)
ハロルド・メイバーンJr.(p)
ラリー・リドレー(b)
ビリー・ヒギンズ(ds)
1965年6月18日録音
曲目:
01.ザ・ディップ
02.リカード・ボサノバ
03.ザ・ブレイク・スルー
04.ザ・ヴァンプ
05.アイ・シー・ユア・フェイス・ビフォー・ミー
06.ボーリン
【アルバム紹介】
1.味のあるトーンとフレージングが魅力のテナーマン、ハンク・モブレー
2.ジャズ・ロックもあり、名演“リカード・ボサノバ”収録のロング・セラー盤
3.リー・モーガンら実力派が参加のクインテット編成
前回のデクスター・ゴードンに続き、渋いハードバップ・スタイルで人気を博した名テナー・サックス・プレイヤーをご紹介します。
ハンク・モブレーは名門ブルーノート・レーベルにたくさんのリーダー作を残しているテナー奏者です。同時代に活躍したジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズに比べて、そのスタイルも含め地味なプレイヤーとして見られる傾向がありますが、その両者と同じくマイルス・デイヴィスと共演した時期もあり、味のあるトーンとフレージングがその魅力といえます。
本作は、60年代後半に差し掛かった時期のアルバムゆえ、1曲目 “ザ・ディップ”は時代のトレンドであったジャズ・ロック・ビートによるナンバーとなっており、その2曲目には“リカード・ボサノバ”の名演が収録されているおかげでロング・セラーの名盤としていまだに支持される一枚となっています。
メンバーは1964年に同じブルーノート・レーベルからジャズ・ロックの大ヒット“ザ・サイドワインダー”を放ったトランペットのリー・モーガン、ピアノは後に日本のヴィーナス・レコードで数々のリーダー作をリリースするハロルド・メイバーンJr.、ベースはフレディ・ハバードのブルーノート・リーダー作にも参加しているラリー・リドリー、そしてドラムスは“ザ・サイドワインダー・ドラマー”ビリー・ヒギンズという実力派がそろっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
大人気曲“リカード・ボサノバ”。
この“リカード・ボサノバ”は1980年代半ば頃に日本のタバコのCMに使われてより知名度が上がった1曲です。元曲は1959年にブラジルのジャルマ・フェヘイラが作曲したナンバーで、CMは女性シンガーのイーディ・ゴーメによるバージョンが使われ、当時のファッショナブルでオシャレな時代と大変よくマッチし、ヒットを記録しました。
今の50代ぐらいの世代(当時は20代)の方々はそのCMでこの曲のファンになり、それが実は昭和のジャズ・エイジ華やかな頃、ジャズ喫茶で大人気のリクエスト曲であり、それがハンク・モブレーのこの演奏だった、ということを知り、本作を聴くようになった人も多いはずです。
小粋なボッサのイントロに導かれ、モーガン、モブレ―の2管が、哀愁のあるメロディが特徴となっているテーマを吹き始めます。テーマ提示後、モブレ―のテナーが粘り気味なソロを聴かせ、続いてモーガンがキレのいい情感をこめたトランペットで盛り上げます。その後のピアノ・ソロではメイバーンがラテン調のリフも挿入しながら雰囲気たっぷりに展開し、テーマに回帰、余韻の中でエンディングを迎えます。
夏の夕暮れ時にこの曲を聴きながら、外の心地よい風に吹かれて過ごすのも悪くないです。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
国内盤UHQCD
国内盤SACD
輸入盤LP
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年07月10日 10:00