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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.94

ゲイリー・ピーコック『テイルズ・オブ・アナザー』(1977)

GP

ゲイリー・ピーコック(b)
キース・ジャレット(p)
ジャック・ディジョネット(ds)

1977年2月録音

曲目:
01.ヴィネット
02.トーン・フィールド
03.メイジャー・メイジャー
04.トリロジーI
05.トリロジーII
06.トリロジーIII

【アルバム紹介】
1.様々なジャズ・スタイルにフレキシブルで抜群のハーモニー・センスのベーシスト
2.全曲オリジナルによるECMでの記念すべき初リーダー作
3.キース・ジャレットとのスタンダーズ・トリオの原点となったレコーディング

2020年9月4日、ベーシストのゲイリー・ピーコック氏がお亡くなりになりました。85歳。 もともとこのコーナーで彼の代表作であるこの『テイルズ・オブ・アナザー』を取り上げる予定でいた中での突然の訃報でした。謹んで心よりご冥福をお祈りいたします。

前回ご紹介のラルフ・タウナーとのデュオ共演盤もあるベーシスト、ゲイリー・ピーコックはストレートなジャズからアヴァンギャルド系ジャズまでフレキシブルで抜群のハーモニー・センスを兼ね備えたプレイヤーとして知られていました。

そのキャリアでまず筆頭にあがるのは、30年以上もの長きにわたって続いたキース・ジャレットのスタンダーズ・トリオでの活動です。本作はECMでの記念すべき初リーダー作でありつつも、参加メンバーがピアニストがキース・ジャレット、ドラムスがジャック・ディジョネットという、1983年に始動する以前のスタンダーズ・トリオの原点となったレコーディングです。

全曲、ピーコック自身のオリジナル曲で、クリエイティヴかつアグレッシヴなインプロヴィゼーションが展開されてゆく、ドラマティックなピアノ・トリオ・アルバムになっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
瞑想的かつ幻想的な“ヴィネット”。

まるでヨーロッパ映画の劇伴を聴いているかのような気分になる、アルバム1曲目。
ゲイリー・ピーコックは70年代初頭に日本に在住しており、禅などを学び、京都や東京で過ごした時代がありました。そういった影響もあってか、この曲で聴かれるように、楽曲はどこか幽玄で、深遠な響きを伴っています。
曲はシンバルの繊細な音から始まります。ピアノが沈思した雰囲気をもったテーマ・メロディを奏でてゆきます。ゆっくりと流れてゆく川のように曲は進行します。
やがて、ピアノ・ソロに移行し、時にフレーズにあわせてキース・ジャレットが唸り声をあげながら紡ぐように展開します。ベース・ソロに移ると、ピーコックの巧みなプレイが光ります。やがて冒頭のメロディが戻り、静かに消え入るようにエンディングを迎えます。
スタンダード・トリオになってからはスタンダード曲がメインのレパートリーとなりますが、本作はその前にお互いに相性を確かめ合うような、そんな自由なセッションのようにも思えます。その結果、その時にしか生まれえなかったであろう創造性豊かな音楽となり、ピーコックにとってはまさに碑(いしぶみ)と言える作品です。

国内盤SHM-CD(一般普及盤)

 

国内盤SA-CD HYBRID盤(タワーレコード限定)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年09月11日 10:00