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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.95

トニー・ウィリアムス『スプリング』(1966)

TW

トニー・ウィリアムス(ds)
ウェイン・ショーター、サム・リヴァース(ts)
ハービー・ハンコック(p)
ゲイリー・ピーコック(b)

1965年8月12日ニュージャージーにて録音

曲目:
01.エクストラ
02.エコー
03.フロム・ビフォー
04.ラヴ・ソング
05.ティー

【アルバム紹介】
1.天才ジャズ・ドラマー、トニー・ウィリアムスのセカンド・リーダー作
2.アヴァンギャルドな解釈による当時としては先進性に満ちたジャズを展開
3.テナー・サックスが2人の異色クインテット編成

前回取り上げましたベーシスト、ゲイリー・ピーコックが60年代に参加したセッションの一つになるのが本作で、天才ジャズ・ドラマーと呼ばれたトニー・ウィリアムスが、若干19歳の時にレコーディングしたブルーノート・レーベルでのセカンド・リーダー作になります。

トニー・ウィリアムスは60年代にマイルス・デイヴィスの“黄金のクインテット”のメンバーとして活躍し、本作をレコーディングした時点もマイルスと行動を共にしていました。最年少ゆえ、新しい音楽への嗅覚に優れ、ここでもアヴァンギャルドな解釈による当時としては先進性に満ちたジャズを展開しています。

テナー・サックスが2人という異色のクインテット編成で、サックスはサム・リヴァース、ウェイン・ショーター、ピアノがハービー・ハンコック、そしてベースがゲイリー・ピーコックという顔ぶれになっています。サム・リヴァースは一時期マイルス・クインテットに参加したサックスマン、そしてジャズ・ファンなら周知のとおり、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックはトニー・ウィリアムスと同じく“黄金のクインテット”のメンバーとして一時代を築いた2人です。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
アルバム中一番メロディアスな3拍子ジャズ “ラヴ・ソング”。

先述の通り、若きトニー・ウィリアムスは新しい音楽の吸収に貪欲な姿勢を持っていたため、また自身のリーダー・アルバムということで気合も入っていたのでしょう、ここでは全曲作曲の完全オリジナルでアヴァンギャルドかつシリアスな音楽を展開しています。
そんな中でその牧歌的なメロディ・ラインが印象に残り、ある意味聴きやすい曲がこの“ラヴ・ソング”です。
テナー・サックスはサム・リヴァース一人がフィーチャーされ、曲はイントロもなく、テナー・サックスでヨーロッパの民謡のようなメロディのテーマが奏でられます。
ソロはテナー・サックスが一番バッターで、続いてハービー・ハンコックのピアノのソロがメインとなり、よどみなく繰り出されるフレーズで、楽曲を引っ張ってゆきます。その後サックスにテーマに戻るとそのままストレートにエンディングに向かってゆきます。終始、刻み続けられる3拍子のビートは同じフレーズがひとつもないように感じられるほど、まるでドラム・ソロを聴いているかのような気にさせてくれます。
補足ですが、このアルバムの2曲目"エコー"はドラムスだけの完全ソロ演奏で、圧巻のプレイを堪能できる1曲です。
トニー・ウィリアムスは、“黄金のクインテット”のメンバー仲間だったウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、そしてベースのロン・カーターが現在も現役で活躍する中、一番若いメンバーであったにも関わらず、1997年2月、51歳の若さで亡くなりました。その天才的なドラミングがジャズに与えた影響は大きく、独自のスタイルは数々のジャズ・ドラマーのリスペクトを集め、イノベイターとして今も名を残すに至っています。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年09月18日 10:00