Dave Koz(デイヴ・コーズ)|10年振りのオリジナル・アルバム『A New Day』/ 待望の新作についてインタビューが到着
オリジナルアルバムのリリースが10年ぶりとなるデイヴ・コーズの新譜は、コロナ禍 において人々に希望や安らぎをもたらすことを目的に制作された。また、デビュー30周年としてファンへの感謝の気持ちをコーズの柔らかく温かい音色と共に表現している。
David Sanborn、Bob James、Brian McKnight、Paul Jackson Jr.、Meshell Ndegeocelloなど豪華なゲスト陣とのコラボにも要注目!
極上のスムーズ・ジャズ健在!!
【収録曲】
1. Summertime in NYC (feat. Brian McKnight)
2. The Closer We Get
3. Still Got It (feat. Antwaun Stanley)
4. Yesterday (Beatles cover, Meshell Ndegeocello on bass)
5. Side By Side (feat. David Sanborn)
6. Long Goodbyes (feat. Bob James)
7. Dr. Norm (feat. Paul Jackson, Jr.)
8. Barcelona (feat. Mark Antoine & Rick Braun)
9. All The Love In The World
10. Highwire (fet. Jeff Lorber)
11. A New Day
12. It's All Love (feat. Chris Davis) CD限定ボーナストラック
Dave Koz インタビュー
1.最新作『A New Day』のタイトルに込められた意味とアルバムのコンセプトを教えてください。
Dave Koz:この度のパンデミックが発生した当初、自分が何をすべきなのかを直感的に分かっていました。音楽とは私自身の人生に於いても、苦しみが伴う時に癒しや安らぎを得られる存在です。そして世界中が大変な状況下にある中で、アルバムを制作することに意義を感じたのです。
今回のアルバム制作では人々に安らぎや安心感といったインスピレーションをお届けするということのみを目標を掲げ、参加してくれた全ての素晴らしいミュージシャン達とそれを共有できたことは本当に素敵な感覚でした。
Covid-19によって今年大変な思いをされた人々を勇気付けたい。新型コロナウイルスは我々にミッションを与えたのです。
恐らく、より大切だったのは、何かを行動に移すことでした。平常時であれば当たり前だった事が全く出来なくなってしまいましたからね!パンデミック初期の数か月間、自分が平常心でいられたのもこのプロジェクトのお陰といえます。私が正気を保つためにもこのアルバムの制作が必要だったのです!
2.デイヴさんの長い音楽キャリアの中での本作の位置づけを教えてください。
Dave Koz:そうですね、アルバムのタイトルである『A New Day』とは私自身の人生にも関連します。10月9日に発売したのですが(注釈:デジタルリリースが10月9日、CDリリースは11月6日)、1990年10月にキャピトル・レコード(Capitol Records)でリリースしたデビューアルバムから奇しくも30年と1日が経った日でもあったのです!
このアルバムは私の音楽的な新たな道標となります。通算20枚目の作品であり、オリジナル・アルバムとしては10年ぶりのリリースとなります。
様々な節目が重なったわけですが、多くの気持ちや想いがこのアルバムには込められています。自分の周りで起こっていた環境のせいかは分かりませんが、新しい音楽的な表現手法を自分自身に見出すことも出来たのです。もう私には“証明”することは何もないと感じています。大変ありがたく、そして光栄なことに素晴らしいキャリアを築くことが出来ましたからね。
ですが、まだ私には音楽的に表現したいことがあります。その上でこのアルバムは、人としてもミュージシャンとしても、まさに私の人生の今を正確に照らすものとなりました。
3.ビートルズのカヴァー『Yesterday』以外、収録楽曲はオリジナルの新曲ですね?このポイントは絶対聴いてほしい、というところがありましたらお教えください。
Dave Koz:今の時代、所謂「アルバム」を制作しようとするアーティストは減ってしまいました。現代の音楽ビジネスではシングルやEPを発表することに重きを置いていますしね。
ですが私はフル・レングスのアルバムを制作したかったのです。
まるでそれぞれの曲が、本で例えれば“章”のような役割となるように。全ての曲が物語の一部ですから。理想をいえばリスナーにはアルバム収録の曲順通り、最初から最後まで聴いて楽しんで頂きたいのです。
とはいえ、格別な想いを寄せる曲もあります。そもそも当初はカヴァー曲を収録する予定はなかったのですが、たまたまビートルズの『イエスタディ』がラジオで流れていたのです。
元々大好きな曲なのですが、胸が張り裂けそうなあのゴージャスなメロディーはアルト・サックスの音色に完璧にマッチするのです。
この曲をレコーディングしたことは今までなかったのですが、Covid-19というレンズを介して改めて聴いてみると、メロディーや歌詞がまた違った意味を導き、非常に感慨深かったのです。それはとても予言的でもありました。いかに昨日(Yesterday)から我々の生活が変わってしまったのか、そんなことに想いを馳せるとより一層、もしかするとこの曲を加えることがアルバムの物語に於いて重要な鍵となるのではと感じました。この狂気な時勢以前、我々はいかに無垢でいられたか、そんな日々を切望させる備忘でもあります。
マット・キューソン(Matt Cusson)という非常に有能なシンガー兼プロデューサーにアレンジを依頼したところ、大変ユニークでクールなアプローチを見出してくれました。実は100種にも及ぶヴォーカル・ハーモニー・トラックを送ってくれました。そしてミシェル・ンデゲオチェロのベースが加わり、彼女の美しいパフォーマンスがこのバージョンをまた新たなレベルへと導いてくれたのです。彼女は真の天才で、とっても個性的!
このパンデミックが収束したら「New Day(新たな時代)」となることは間違いありません。しかし次のフェーズへと到達するには「Yesterday(過去の時代)」も認識しなくてはいけないと思うのです。
4.とても豪華なゲスト・ミュージシャンが参加しています。どんな風にオファーしていったのですか。また、レコーディングはどのように行われたのですか。
Dave Koz:コロナ禍でのレコーディングで素晴らしかったことはミュージシャンみんながステイ・ホームしていたということ!隔離や自粛がスタートしてミュージシャンも普段とは違う生活を送ることを余儀なくされました。だからこそ私の大好きなミュージシャンにオファーしました。ドラムのジョン・ロビンソン、ベースのネイザン・イースト、ギターはポール・ジャクソン Jr.を筆頭に。みんな真剣に取り組めるプロジェクトを探していたので快諾してくれました!
ゲスト・アーティストも同様です。デイヴィッド・サンボーン(私の中でナンバー・ワンのサックス・ヒーロー)もその一人。共に作曲し、レコーディングするという私の長年の夢が叶ったのです!彼のパートはニューヨークで行われ、私のパートはLAで、なんとか形にすることが出来ました。そして、ブライアン・マックナイト, ボブ・ジェームス, ジェフ・ローバー, リック・ブロウン, マーク・アントワンなど多くの参加アーティストもみんな同じです。
リモートでレコーディングをするという試みは決して容易くはありませんでした。通常はスタジオにミュージシャンが集まり演奏し合って音楽を創作するものです。そういった手法は今回、不可能だったわけですが、それぞれのミュージシャンとゲストから届けられたトラックは彼らのピュアなエネルギーを爆発させているかのように聴こえました。全員がクリエイティブな作業に参加していることを楽しんでくれて、そんなトラックの数々が適所に、そして完全にマッチしたのです。誰一人として同じ場所を共にせず工程をこなしたのは凄いことだと思いますが、皮肉な事にアルバムは全体的に結束しタイトに聴こえるのです。
5.現在世界中がとても不安な状況の中、音楽は人々にとってどんな力になれるか、デイヴさんの想いをお聞かせ下さい。
Dave Koz:今日ほどミュージシャンやクリエイティブな人にとって重要な時期はないと考えています。
先ほども申しましたように、苦難の時に、我々人類は心を落ち着かせるために癒しや安堵を求めるのは自然なことです。音楽が多くの人にとってその役割を担えますし、私自身も音楽に感謝しています。音楽がいかにパワフルなものに変化し得るのかよく理解しているつもりです。ときには、言葉や他のメディアよりも継続性のある変化が効果的に表れることや、純粋に人の心に寄り添うこともあるでしょう。
私は今でも音楽を制作出来る立場にいることを大変光栄に感じていますし、このような難しい時期に音楽家達が織りなしてくれたハーモニーに自分自身のヴォイスを加える作業を心から楽しみつつ、深い責任も感じています。またいつかツアーに戻れることを心待ちにしています。世界中を巡り、“メイキング・ミュージック”したいですね。きっと、もうすぐ叶うはずです。
また世界を旅するなら日本が絶対にリストのトップです。日本を訪れるのが本当に大好きです。そしてブルーノート東京で(他の都市のライブ会場も含めて)毎年のように演奏させて頂き本当に、最高に楽しかったです。日本の素晴らしい音楽ファンのみなさんにまたお会いできることを心待ちにしています。あなた方は最高です!!
Domo arigato gozaimas, and Mata ne!
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掲載: 2020年10月01日 16:48
更新: 2020年10月21日 18:37