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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.98

ウィントン・ケリー『ケリー・ブルー』(1959)

WK

ウィントン・ケリー(p)
ナット・アダレイ(cor) on トラック1,5
ベニー・ゴルソン(ts) on トラック1,5
ボビー・ジャスパー(fl) on トラック1,5
ポール・チェンバース(b)
ジミー・コブ(ds)

1959年2月19日、3月10日ニューヨークにて録音

曲目(オリジナル発売時):
01.ケリー・ブルー
02.朝日のようにさわやかに
03.オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
04.柳よ泣いておくれ
05.キープ・イット・ムーヴィング
06.オールド・クローズ

【アルバム紹介】
1.マイルスの名作『カインド・オブ・ブルー』 に参加した、もう一人のピアニスト
2.リヴァーサイド時代のリーダー・アルバム
3.セクステットとピアノ・トリオでの演奏を収録

前回ご紹介したブルー・ミッチェルのワン・ホーン・カルテットの快作で、ピアノを弾いていたのがウィントン・ケリーです。
マイルス・デイヴィスのジャズ史に残る名作『カインド・オブ・ブルー』のピアニストはビル・エヴァンスがメインですが、そこに参加したもう一人のピアニストがウィントン・ケリーであることも良く知られている話です(1曲“フレディ・フリーローダー”を演奏)。

本作は、ウィントン・ケリーのリヴァーサイド時代の2枚のリーダー作の一つで、バップ風のフレージングの中にブルージーなアプローチが特徴のピアノ・スタイルを存分に楽しめる一作です。

編成は2曲がセクステット、他はピアノ・トリオでの演奏が収録されています。セクステットに加わるフロントの管楽器奏者はコルネットのナット・アダレイ、テナー・サックスのベニー・ゴルソン、フルートのボビー・ジャスパーの3人。ベースは名手ポール・チェンバース、ドラムスはジミー・コブのコンビで、この顔ぶれは『カインド・オブ・ブルー』と同じメンバーになります。ちなみに『カインド・オブ・ブルー』は本作と同年1959年の3月2日、4月22日の2日間にレコーディングが行われました。

楽曲はケリーのオリジナル(トラック1,5,6)と有名スタンダードが半々に収録され、やや大きなコンボとシンプルなピアノ・トリオで聴かせる魅力の詰まった一作です。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
クールでスインギーな“オン・グリーン・ドルフィン・ストリート”。

本作を聴く場合、ハイライトになるのはやはりケリーのオリジナル曲であり、セクステット編成で10分以上にわたって熱演するタイトル曲になるでしょう。
そこを、あえて有名スタンダードに着目して、ケリーのピアノをじっくり聴こう、ということでこの1曲を選びました。
数多くの演奏が存在するスタンダード楽曲ですが、ここでケリーはクールでスインギー、とても軽やかなプレイを展開しています。
高音域でテーマ・メロディを提示した後、ソロに入ると音域を落とし、シングル・トーンで流麗なフレージングを次々と繰り出してゆき、徐々に高揚感が出てきて、リズム的に変化をつけながら進行します。最後はテーマを提示してサラリを終わってゆきます。
スマートでいながらも型にはまらないプレイ・スタイルは多くの後進のピアニストに影響を与えましたが、1971年にカナダで癲癇性の発作のため、39歳の若さで惜しくも亡くなりました。

国内盤SHM-CD(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2020年10月09日 10:00