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Ellinoa(エリノア)|未来派志向のフランス産女性ヴォーカルの注目盤『The Ballad Of Ophelia』

Ellinoa(エリノア)『The Ballad Of Ophelia』

フランスで「確実に今一番注目されているミュージシャンの一人」、エリノアのカルテットニューアルバム『THE BALLAD OF OPHELIA』。 声と弦楽器を織り交ぜた既存のカテゴリーに当てはまらないジャズ音楽。

再び、私達の想像を超えてゆくエリノア。

作曲家であり、結成とともに強く印象づけたワンダーラスト・オーケストラの指揮者でもある彼女。今回は悲劇のヒロイン、オフェリアを巡る全く異なる世界観を魅せてくれます。

カルテットが展開するのはアコースティック音楽とエレクトロ音楽を織り交ぜた楽曲。ジャズを根底に持ちながら、ロックのアクセントの効いたギターポップのコンテンポラリーな音色で、既存のジャズのカテゴリーに当てはまらない音楽を作り出しています。

3人のミュージシャン:アルテュール・エン、オリーブ・ペルーソン、ポール・ジャレを率いるのは「極めて個性的で味わい深い世界観を持った歌手」と評されるヴォーカリスト、エリノア。今回のアルバムでは更に、オリーブ・ペルーソンと『Les Enfants d’Icare』のカルテットグループで演奏するヴァイオリニスト、ボリス・ラメランとアントワーヌ・デルプラ、そしてチェリストのオクターヴィオ・アンガリッタが参加した数曲も収録され、叙情的で暖かみのある音色が加えられています。

アルバム『THE BALLAD OF OPHELIA』は、オフェリアの内面を物語る一連の11ものバラードを提供しています。エリノアの作曲をもとに、グレゴワール・ルトォヴェ(演出)とニコラ・シャルリエ(音響)によって更に昇華された楽曲たち。音響効果に特に力を入れることで(弦楽器のアレンジ、ギターの追加、コーラス、サウンドデザインなど)まるで水の中に沈んで行くような臨場感を与えてくれます。


『THE BALLAD OF OPHELIA』

カルテット「Ophelia(オフェリア)」の名は、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物オフェリアから名づけられています。彼女は王子ハムレットに恋をしますが、残酷な運命に翻弄され、その想いはかなわぬまま、川で溺れてしまいます。この哀しくも美しい女性の人生こそ、この作曲プロジェクトの鍵。

オフェリアの生涯を表す「水」「夢」「欲望」「断念」「放棄」そして「運命」という主題は、このプロジェクトの作曲や歌詞に繰り返し現れるテーマであり、それぞれが音色によって表現されています。このグループの楽曲の特徴は、シンプルで幻想的なメロディーから始まり、徐々に現実から引き離されていくような軋む音色へと移り変わって行く変化。そして、夢のような軽い雰囲気を醸し出しつつも、リズミカルでずっしりとした作曲も可能にした、ドラム無しのフォーメーション。まさに様々な形をとって激しく流れていく水のイメージを表現しています。

エリノアの歌声は形を変え、徐々に大きくなり、楽器に勢いづけられ最後には水のように大海の中へ消えて行くのです。言葉が発せられる度に、かき分けるように進み道を掘り出し、果てしなく広がっていくかのように。コントラバスのアルテュール・エンとヴィオラのオリーブ・ペルーソンは交互に飛び散る飛沫を表現し、そして反響するコーラスはオフェリアを捉え、やがて飲み込んでゆくかのようです。


【収録曲】
1. Riverhead
2. The Wave
3. Etincelle
4. I'm Bathing
5. Wilting Point
6. Why Do I Feel
7. Suddenly
8. To Madness Intro
9. To Madness
10. Ophelia
11. L'enfance s'efface
12. Dream

Ellinoa(エリノア)『The Ballad Of Ophelia』

Ellinoa(エリノア)『The Ballad Of Ophelia』

Photos : Marc Ribes

掲載: 2020年10月28日 13:10