WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.107
マーク・ジョンソン『ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング』(1998)
マーク・ジョンソン(b)
パット・メセニー、ビル・フリゼール(g)
ジョーイ・バロン(ds)
ニューヨーク、アヴァター・スタジオにて録音
曲目:
01.フェイス・イン・ユー
02.ゴースト・タウン
03.サマー・ランニング
04.ウィズ・マイ・ブーツ・オン
05.ユニオン・パシフィック
06.ポーチ・スウィング
07.ディンギー・ドング・デイ
08.マックスとベンの冒険
09.イン・ア・クワイエット・プレイス
10.フォー・ア・サウザンド・イヤーズ
【アルバム紹介】
1.ビル・エヴァンス・トリオのラスト・メンバーだったベーシスト、マーク・ジョンソン
2.パット・メセニー、ビル・フリゼールの2大ギタリストを配したカルテット編成で聴かせる意欲作
3.アメリカーナな牧歌的要素を消化したギターワークが光る音楽
100回目達成記念「90年代の名盤特集」第7回目は、1998年にリリースされた、ベーシストのマーク・ジョンソンの傑作です。
マーク・ジョンソンはビル・エヴァンス・トリオのラスト・メンバーとして知られ、80年代半ば頃からECMでのユニークなリーダー作をリリースするなど、現代のジャズ・シーンでは避けて通れない人気の高いベーシストです。
本作はギターにパット・メセニー、ビル・フリゼールの2大ギタリストを配し、ドラムスには実力派ジョーイ・バロンが加わったカルテット編成で聴かせる意欲作になっています。
プレイ・スタイルの違う2人のギタリストがバンドのサウンドを決定づけていますが、いわゆるジャズ・ギターのオーソドックスなプレイは一切なく、フォーク、カントリーといったアメリカーナな牧歌的要素を消化したギターワークでオリジナリティあふれる音楽を展開しています。
楽曲はほぼマーク・ジョンソンのオリジナルで、そこにビル・フリゼールが2曲、パット・メセニーが1曲、加えてピアニストのイリアーヌの楽曲が収録されています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
アコースティック・ギターのストロークが爽快な“サマー・ランニング”。
この曲のタイトルは、言ってみればアルバム・タイトルのようなものです。またここで聴かれる音楽も2ギターという特徴を生かした、その雰囲気にピッタリの曲調となっています。
曲が始まって、一気に引き込まれるのがアコースティック・ギターによるリズミカルなストローク。そこにエレクトリック・ギターがパット・メセニー、ビル・フリゼールそれぞれのトーンで、見事にハーモナイズするテーマが提示されます。
その後、パット、ビルの順にソロが続き、どこまでもどこまでも雲を追いかけて、夏の空気の中を疾走してゆくようなイマジネーション溢れる世界が広がってゆきます。
一度聴いてから、このジャケットのアートワークを見ていると、その音が自然とまた聴こえてきそうな錯覚にとらわれる一枚です。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年12月11日 10:00