Larry Coryell(ラリー・コリエル)& Philip Catherine(フィリップ・カテリーン)|コリエルのラスト・レコーディングともなる作品『Jazz at Berlin Philharmonic XI: The Last Call』
1943年生まれのラリー・コリエル、1942年生まれのフィリップ・カテリーン、2人のギタリストによる、2017年ベルリン・フィルハーモニーでの共演公演を収めた作品。
2人は、1976年、同会場で、ラリー・コリエル率いるイレヴンス・ハウスのメンバーとして演奏。その後77年にロンドンで『Twin House』を78年にハンブルグで『Splendid』をデュオで録音。その後もヨーロッパ、また南北アメリカ各地と広範囲のツアーを行い、チャールズ・ミンガスのバンド・メンバーとして共演などもした知る人ぞ知る名コンビ。そして、その仕掛け人は、ほかでもない、本ACTレーベルのファウンダーでありプロデューサーであるシギ・ロッホ。本作はそのシギが『Twin House』のレコーディング40周年を記念して企画したもので、ジャズの歴史を感じさせるものでもある。
オープニングトラックは、『Twin House』のオープニングだった「ミス・ジュリー」。この演奏を聴いただけでも、双方のギタリストが時を超えてお互いをリスペクトしていることが感じられ、好印象。ボサノバの名曲「カーニバルの朝」などを聴くと、コリエルのアコースティック・ギター、カテリーンのエレキ・ギター、2 本が、表裏、カッティングにソロに思慮深い会話を繰り広げていて心温まる。また後半は、ピアノのヤン・ラングレン、ベースのラーシュ・ダニエルソンが加わりカテリーンはラングレンと、コリエルはダニエルソンとデュオを披露。また、ラストは、ヨーロッパを代表するトランペッター、パオロ・フレスも加わり華を添える。名曲「グリーン・ドルフィン・ストリート」 の演奏の後には会場から温かい拍手が鳴り響いてやまない。
ラリー・コリエルは、この4週間後に亡くなってしまうこともあり、ある種運命的な企画。ジャズの歴史をミュージシャンとともに創り上げてきたシギ・ロッホだからこそのドラマも感じる公演、作品です。
収録曲: 01 Ms. Julie 02 Homecomings 03 Manha de Carnaval 04 Jemin-Eye’n 05 Embraceable You 06 Bags’ Groove 07 Green Dolphin Street
掲載: 2021年01月18日 14:41