Bob Dylan(ボブ・ディラン)|1963年のサードアルバム『時代は変わる』の別バージョンや未発表曲を網羅した作品集
1年間かけて制作したセカンドアルバム『フリー・ホイーリン』が発売され、ピーター・ポール&マリーによって「風に吹かれて」がヒットすると、ディランは一躍フォーク界の若き旗手として脚光を浴びることになる。英雄ピート・シーガーや、フォークのプリンセス、ジョーン・バエズらの協力も得て、ディランの作風はより研ぎ澄まされていく。飛躍の年、1963年のディランを象徴するアルバムが『時代は変わる』だ。
そこでのプロテスト・ソングは、当時の米国が抱えた差別や社会問題に切り込む歌詞が鋭く、ディランのプロテスト・シンガーとしての最高傑作と呼ばれている。そして、これが社会派シンガー・ディランとしての最後のアルバムとなる。ここには、そのアルバムの別バージョンやアウトテイクが収録されている。
発表されなかった曲や別テイクを聴くことにより、当時の「ディランの頭の中」や方向性が、より浮かび上がってくる。 1曲目「時代は変わる」は、公式テイクの前日に録音された初期バージョンで,キーが一音低く(F)歌われている。「ホリス・ブラウンのバラッド」は、ギターにB・ラングホーンが参加したバージョンで、前作『フリー・ホイーリン』で試されたテイクだ。「フェアウェル」、「エターナル・サークル」は、後年『ブートレッグ・シリーズVol.1-3』などでデモが明らかになった幻の曲で、ハーモニカ入りのテイクなど、ここでは『時代は変わる』セッションからの快挙の収録となった。「ヒーロー・ブルース」は、なんとディラン自身のピアノ伴奏によるテイク。この曲は、1974年のザ・バンドとの「偉大なる復活」ツアーの初日のシカゴ公演の1曲目に、突如として演奏されるまで、謎に包まれた曲だったが、既にこのアルバム用に録音がされていた驚愕の音源。
美しい「パーシーズ・ソング」は、J・バエズが映画の中で歌っていた注目曲だが、ここでのディラン版は7分にも及び、淡々とした演奏が胸を打つ。「Lay Down Your Weary Tune」も、後年『バイオグラフ』で発表されるまで伏せられていた隠れ名曲。ここまで聴いただけでも、アルバム未収録となった曲は、どれもが佳曲、名曲と呼んでいい曲ばかり。これらの曲でアルバム『時代は変わる』を作っても良かったのではと思える。が、ディランはその選択をしなかった。「神が味方」、「スペイン革のブーツ」、「ハッティ・キャロルの寂しい死」など、重要曲の当時のレアなライヴテイクも追加収録。
ディランも参加したキング牧師の「ワシントン大行進」、そしてJ・F・ケネディが暗殺された1963年、ディランが世に問うた、生涯唯一の完全プロテスト・アルバムの、制作の裏側を垣間見る、歴史的なセッション集。
★当時の状況、エピソード、全曲の詳細な解説など、6,700字の日本語解説掲載の8ページブックレット。
★日本著作権協会JASRAC許諾商品
★Getty Images Japanのライセンス写真使用ジャケ
国内盤CD
■収録曲
The Times They Are A-Changin' (Alternate)
Ballad Of Hollis Brown (Early vers. w/Bruce Langhorne)
Farewell (Take 4)
Eternal Circle (Take 3 with Harp)
Hero Blues (Piano vers.)
Percy's Song (Take 1)
That's All Right Mama (Piano vers.)
Piano Jam (improvisation)
Lay Down Your Weary Tune (Acetate)
Bob Dylan's New Orleans Rag (Piano vers.)
With God On My Side
Boots Of Spanish Leather
The Lonesome Death of Hattie Carroll
One Too Many Mornings (BBC 1965)
When The Ship Comes In (Home recording 1963)
ボブ・ディラン|『フリー・ホイーリン』レコーディング・セッション集!1年間、8回のセッションから別バージョン&アウトテイク収録! >>>>
タグ : ロック復刻&発掘
掲載: 2021年06月24日 16:39