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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.138

チャーリー・ヘイデン『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』(1970)

CH

チャーリー・ヘイデン(b)
カーラ・ブレイ(p, arr)
ドン・チェリー(cor, fl)
マイク・マントラー(tp)
ラズウェル・ラッド(tb)
ボブ・ノーザン(Frh)
ハワード・ジョンソン(tu)
デューイ・レッドマン(as, ts)
ガトー・バルビエリ(ts, cl)
ペリー・ロビンソン(cl)
サム・ブラウン(g)
アンドリュー・シリル(ds)
ポール・モチアン(per)

1969年4月27~29日、ニューヨークにて録音

曲目:
01.イントロダクション
02.連合戦線の歌
03.第5連隊~4人の将軍~第15旅団
04.エンディング
05.チェ・ゲバラに捧げる歌
06.戦争孤児
07.インタールード (ドリンキング・ミュージック)
08.サーカス '68 '69
09.勝利をわれらに

【アルバム紹介】
1.チャーリー・ヘイデン最初のバンド・リーダー作、アレンジには才女カーラ・ブレイ
2.スペイン市民戦争がテーマ、メッセージ性の高いオリジナリティ溢れる楽曲群
3.メンバーは大所帯で、フリー・ジャズ系の名プレイヤー揃い、当時のカーラ・ブレイ人脈のオールスター的な顔ぶれ

前回このコーナーで取り上げましたジョン・コルトレーンの『至上の愛』のような“大作”的なコンセプト・アルバムはジャズのアルバムでもいくつかあり、その一つとして挙げられるのが、ベーシストのチャーリー・ヘイデンによる、この傑作です。

本作はチャーリー・ヘイデンの最初のバンド・リーダー作となっており、アレンジには才女カーラ・ブレイがその真価を発揮しています。
スペイン市民戦争がテーマの題材で、ジャズという音楽のスタイルで発信したメッセージ性の高いオリジナリティ溢れる楽曲群が展開されてゆきます。スペインの古いトラッド・ソングを引用した3部構成の曲が前半のハイライト、5曲目以降、後半はヘイデンやブレイ、オーネット・コールマンの意欲的なナンバーがそろっています。

メンバーは大所帯で、トランペットのドン・チェリー、テナー・サックスにはデューイ・レッドマン、ガトー・バルビエリといったフリー・ジャズ系の名プレイヤーが揃っており、当時のカーラ・ブレイ人脈のオールスター的な顔ぶれと言えます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ヘイデンのベースが歌う “チェ・ゲバラに捧げる歌”。

大きなテーマ性をもって描かれた本作のようなアルバムは全曲を通してこそ、初めてその世界観が伝わるものです。
その中で1曲、アルゼンチン生まれのキューバの革命家チェ・ゲバラにデディケイトしたこの曲はチャーリー・ヘイデンのベース・ソロが淡々と歌い始め、徐々に楽器が加わり、エモーショナルでスピリチュアルな演奏が展開されてゆきます。
この曲はレコードで最初に世に出たのは本作のバージョンですが、実はそのレコーディングの1ヵ月前にオーネット・コールマンのカルテットによってニューヨーク大でライヴ・レコーディングされた演奏が初演となっています。その後ヘイデン自身のアルバムやキース・ジャレットの発掘ライヴでの演奏も残っており、ヘイデンにとっては代表曲といえる1曲となっています。

国内盤SHM-CD(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2021年07月30日 10:00