こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

注目アイテム詳細

WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.172

グラント・グリーン『トーキン・アバウト』(1965)

GG

グラント・グリーン(g)
ラリー・ヤング(org)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)

1964年9月11日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.トーキン・アバウトJ.C.
02.ピープル
03.ルーニー・チューン
04.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ
05.俺らは老カウボーイ

【アルバム紹介】
1.ホーン・ライクなプレイを得意とするギタリスト、グラント・グリーン
2.ラリー・ヤング、エルヴィン・ジョーンズら豪華な顔ぶれのオルガン・トリオ編成
3.コルトレーンの名前を冠した12分近い熱演“トーキン・アバウトJ.C.”含む全5曲

ジャズ・ギターと言ってもよく聴いてみるといろいろなスタイルがあります。
大きく分けて、サックスやトランペットなどのホーンのように単音主体でプレイするタイプと、そこに加えてコード弾きの和音でのプレイも特徴としているタイプがあります。
今回ご紹介のグラント・グリーンは前者のプレイ・スタイルのギタリストになります。

ブルーノートの看板ギタリストの一人、グラント・グリーンのギターの音色は通常ジャズ・ギタリストが太く温かみのあるトーンであることが多いのに対し、ギターのピックアップの仕様の違いにより、ややシャープで輪郭の立ったトーンが特徴です。それゆえホーン・ライクなプレイに適した音色であるとも言えます。

本作はオルガン・トリオの編成で、オルガンにはプレスティッジやブルーノートにリーダー作を残す名プレイヤーのラリー・ヤング、そしてドラムスにはこの時ジョン・コルトレーン・カルテットのメンバーであったエルヴィン・ジョーンズという豪華な顔ぶれです。
楽曲はラリー・ヤングのオリジナルである1曲目“トーキン・アバウトJ.C.”、3曲目“ルーニー・チューン”以外は、2曲目は本作のレコーディングと同年1964年に発表のバーブラ・ストライサンドの代表曲“ピープル”、そして4曲目、5曲目がスタンダード・ナンバーという全5曲の構成になっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ジョン・コルトレーンも気になった?“トーキン・アバウトJ.C.”。

タイトルにある“J.C.”とはジョン・コルトレーンのこと。ラリー・ヤングはそのアグレッシヴなプレイで“オルガンのジョン・コルトレーン”の異名を持ち、コルトレーン・カルテットの強靭なリズムを支えたエルヴィン・ジョーンズがここにいることで、3者がジョン・コルトレーンを意識した“音”で会話しているかのような1曲です。
この演奏をジョン・コルトレーンは果たして聴く機会があったのかどうか。
ラリー・ヤングによって短いテーマが提示されたあと、グラント・グリーンの攻めのソロが始まりますが、曲の1分30秒から15秒にわたって展開されるロック・ギターのようなフレーズが印象に残ります。
続くラリー・ヤングのソロになると徐々にエルヴィン・ジョーンズのドラムもダイナミックさを増してゆき、ドラム・ソロが炸裂します。
最後はテーマが回帰したあとアウトロはフェイド・アウトしてゆきます。トータル・タイム11分45秒、非常にエキサイティングな演奏になっています。
本作の後、このメンバーは、グラント・グリーンのブルーノート・リーダー作『アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド』(1966 邦題:抱きしめたい)『ストリート・オブ・ドリームス』(1967)、ラリー・ヤングのブルーノート初リーダー作『イントゥ・サムシン』(1965)などで3人そろって顔を合わせていますが、以降60年代終わり頃から70年代にかけて、グラント・グリーンはソウル・ジャズに接近、ラリー・ヤングはジャズ・ロック方面でも活躍、エルヴィン・ジョーンズはポリリズミックなドラミングを前面に数々の気鋭のミュージシャンたちと新しいジャズを模索・展開してゆきました。
今から思えば、どこか“型にはまらない”音楽を追求する3人が、60年代の半ばという音楽シーンが変化する時代の中で顔をそろえた奇跡のセッションであった、と言えそうです。

国内盤CD

 

グラント・グリーン聴くなら、こちらもお勧め!タワーレコード企画限定盤CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年04月01日 10:00