Lex Jasper Trio(レックス・ジャスパー・トリオ)|ピアノ美に満ちた豊かな欧州的情緒が心を揺さぶる新作『HAPPY TALK』を澤野工房からリリース
オランダのピアニストって、大まかないい方になリますが、明るくスイングする人が多くて、私シンパシーを持って聴いています。例えば、ピム・ヤコブスにルイス・ヴァン・ダイク。澤野工房でいえば、このレックス・ジャスパー、ヨス・ヴァン・ビーストもその系統ですね。本作はドラムなし、ギター、ベースとのトリオ盤。室内楽的というか、よリ親密で、メロディの際立つピアノが聴けるように思います。
オープニングの(1)から、ざくざくと力強くスイング。ブルージーな演奏で聴き手をジャズな気分にさせてくれます。続く(2)も自作曲、こちらは速いテンポのボサノバです。そういえば、作曲も魅力的なジャスパー。この中では私、後半(8)の「マイ・ディア・エレイン」が一番の名曲だと思いました。冒頭にわずか5、6秒の、でもとても耳を引くフレーズの付いたワルツです。英国のシンガー、エレイン・デルマーに捧げられた曲とのこと。流れるようなリズムに乗つたピアノが実に愛らしいです。次曲(9)はバカラックの名曲。(10)は本作のタイトル曲、途中に出てくる3人の掛け合いも見事です。少し戻って、(5)はソロかな?と思うくらい導入が長い曲。ジミー・ウェッブ作の(6)と共に優しい音色のピアノが印象に残リます。全14曲で54分ちょっと。短めの曲が並ぶ、なんともインティメイトなトリオ作品です。
これはもう3人のジャズメンによる『ハッピー・トーク』ですね。どうぞお楽しみください。
Text by 神尾 孝弥
国内盤CD
収録曲: 01. Picture Yourself in Paris 02. A Happy Conclusion 03. People Will Say We’re In Love 04. For KTB 05. Where Is Love 06. Betsy & Louis 07. How About You 08. My Dear Elaine 09. This Guy's in Love with You 10. Happy Talk 11. So Convincingly 12. That Old Feeling 13. Didn’t We 14. Focal Point
FEATURED ARTISTS: Lex Jasper : piano Frans van Geest : bass Vincent Koning : guitar
掲載: 2022年06月17日 15:39