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BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』|【日本のロック名盤】00年代

邦楽ロックにトラッドミュージックを取り入れ、新たなる扉を開いた伝統と革新を繋ぐ芸術作。


前作『Jupiter』ではクラシックロック,90’sUSオルタナ,UKロックをクロスーバーさせ、ハードでエッヂの効いたロックサウンドを作り上げた。今作『ユグドラシル』では疾走感のあるギターロック「オンリーロンリーグローリー」「sailing day」から鍛冶屋を表現する為に「鉄アレイ」を叩き使用した「ギルド」。爪弾かれるアコースティックギターの美しい音色に粉雪のように表現されたアンビエント,シューゲイズ感のギターの音色は芸術的な「スノースマイル」は一種のアートロックのよう。マンドリンを導入した60年代風の英国フォーク・ロックを彷彿させる「同じドアをくぐれたら」、「車輪の歌」などビンテージ感漂うサウンドにクラシックロック,ギターロック、藤原基央氏のルーツであるUKトラッド,アイリッシュを取り入れた伝統と革新を繋いだ一作。「世界樹」を意味するタイトル『ユグドラシル』を始め北欧神話に登場する用語が使われているのも特徴で“アース神族の国”の意味である「asgard」から始まりエンディングでは”人間界”を意味する「midgard」で締めくくられている。まるで一人の旅人が、神族の世界に旅立ち、人間界に戻るそんなファンタジックな小説のよう。ジャケットは藤原氏が書いた鉛筆画であるため白黒であるが、表現豊かな楽器の音色とメロディーが色彩を与えて、アルバム全体を聴いた時に全てが彩られていくようでそれは小説であり絵画でもあるような芸術性の高い作品でもあります。Beatles「WhiteAlbum」やTheBand「MusicFromBigPink」と同じようにバンドの才能がスパークし作り上げたバンドの傑作であることは十分感じられますが、それだけでなく日本のロックの礎を築いた「はっぴいえんど」以降受け継がれてきた日本のブルースロック、フォークロックを継承し、日本人ならではの感受性と表現力によってもたらされた邦楽ロックの歴史的名盤であることも間違いない最高純度の一枚です。

タグ : 日本のロック名盤 00年代

掲載: 2022年08月22日 13:25